01
昼時、そろそろ小腹が空いてきたため、適当に街をぶらつく。
手頃でそこそこおいしそうな物を探す。
通りの角にパニーノの店を見付けた。
あそこならそれなりのものが食べられそうだ。
「モルタデッラにフィノッキオーナとペコリーノのやつを一つ」
天候が良いので外のテーブル席で食べていると、またどこからか小鳥が飛んできた。
「もしかしてお前、この前僕を助けてくれた…」
あの後調べてみたら、どうやらヨーロッパコマドリという種類らしい。
コマドリは小さく首をかしげてから、少年のすぐ前までひょこひょこと跳ねてきた。
「お前も食べる?」
パンを一欠け小さくちぎって手の平に乗せてみると、コマドリはそのパンくずをついばみ始めた。
つつかれる手が少しくすぐったい。
思えば、誰かと同じおいしいものを共有するのは初めてかもしれない。
相手は動物だが。
(初めて…?)
その後も、コマドリはよく少年の元へ遊びに来るようになった。
自分からすり寄ってきて、撫でれば嬉しがり、食べ物を分けてやればそれを美味しそうについばむ。
まるで、友達ができたかのようだった。
(友達 ?)
(僕はいつも一人ぼっち)
(いや違う)
(僕にはボスが)
(友達…?)
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