02
後半開始、負けは決まっているも同然。
それでも円堂はやる気だった。
しかし、ボールが帝国側のキャプテンに渡った時。
「デスゾーン、開始」
上がってきた帝国選手にパスを出すと、その三人が高く跳躍し、ボールを中心に回転し始めた。
「デスゾーン!」
三人に蹴られたボールは、前半までとは比べ物にならないパワーでゴールへ向かった。
「うわあぁぁぁ!!」
円堂はその威力に耐え切れず、ボールごとゴールに突っ込んでしまった。
信じられなかった。
こんなに強力なシュートなんて、見たことない。
「続けろ、奴をあぶり出すまで」
そしてそこから、前半の比ではない攻撃が始まった。
パスを受けた直後、あっという間に帝国の必殺技に吹っ飛ばされてしまった。
その他のメンバーも、圧倒的な帝国の力に対抗する術もなく、みんな倒れ伏していった。
その間にも、嘲笑うかのように14点、18点とシュートが決まっていく。
「百裂ショット!」
またボールが飛んでいった。
しかし…
(このボール、明らかに円堂を狙っている!)
まだ試合は終わらない。
この攻撃が続いたら、いくら円堂でも大怪我を免れない。
「くっ…」
自分が動けば何か変わると思っていた訳ではないけれど、身体は動いていた。
「!?水緒!」
叫んだのは一郎太か。
「円堂!」
痛みが体を支配する。
それでも無理矢理体を突き動かす。
気が付くとゴール前まで来たボールを蹴り返していた。
「!」
「…ほう、これは面白い」
ボールはタッチラインを越えて転がっていった。
「水緒!」
円堂が駆け寄ってきて、水緒を起こした。
「お前…!」
「っ…私は、大丈夫。大丈夫、だから…」
半田も負傷している今、代えの選手は居ない。
自分でどうにかしなければ…。
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