01
翌日―
もう既に決めていた。
円堂と一緒に帝国と戦う。
その旨を伝えるため、未だ学校中を駆けずり回っているであろう円堂を探す。
「水緒〜!」
「あ、いた円堂」
体育館近くで手をぶんぶん振り回している円堂を見つけ、駆け寄った。
「どう?メンバー集めは」
「ああ、集まってきた!これで帝国と試合ができる!」
「そのことなんだけど、私も入る。私も、お前と一緒に、帝国と戦う」
その瞬間に、円堂の顔が一気に綻んだ。
「本当か!?ありがとな、水緒!」
「サッカーなんて久しぶりだし、力不足かもしれないけどよろしく」
「大丈夫だ、お前なら絶対できる!一緒に帝国を倒そうぜ!」
「うん!」
こうして、助っ人として円堂と共に帝国と戦うことが決まった。
集まったメンバーで、円堂達元からのサッカー部員を中心に練習もした。
(もしかしたら、帝国にも勝てるかもしれない…!)
しかし、現実はそんなに甘くなかった。
帝国との試合当日、円堂はなんとか12人のメンバーを集めた。
しかし―。
雷門側のキックオフで始まったものの、染岡のシュートは簡単に止められてしまった。
その直後、相手のDFの蹴ったボールが凄まじいパワーで飛んできて、あっという間に一点入れられてしまった。
それが合図だったかのように、次々に帝国のシュートが決まっていく。
雷門側も必死に戦うも、まるで今までの練習を嘲笑うかのように帝国選手に吹き飛ばされ、その実力の差は歴然。
思えばウォーミングアップの時点で、帝国の選手たちは凄まじい能力を見せていたではないか。
ベンチで戦況を見ていても、あまりの実力差に呆然としてしまった。
(うそ…今まであんなに練習したのに、ちっとも歯が立たない…こっちがこんなに必死にやっても、まるで相手にならない…)
「これが、帝国…」
帝国選手が余裕の表情を見せる一方、雷門の選手は帝国の攻撃を受け、立っているのもやっと、といってもいいほどボロボロだった。
帝国が六点目を入れたところで、耐え切れなくなった水緒は思わず立ち上がった。
「円堂!私を入れて!選手を交代させて!」
「…!水緒…」
「私が入っても何も変わらないかもしれないけど、これ以上見てられない!」
「…分かった!半田と交代だ!」
他のメンバーと同様ボロボロだった半田はベンチに下がり、自分がが入る。
しかし、戦況は何も変わらなかった。
帝国の攻撃は止むことなく続き、自分自身も入って間もなく傷だらけになった。
そして、前半終了の笛が鳴った時点で一点も奪えないまま10対0、雷門メンバーは誰一人として、無傷の者はいなかった。
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