ああ、なんて有意義な午後だろうか。

誰に邪魔されるでもなく昼過ぎまで寝て好きな時間に起きて。
ぼーっとテレビを見ながら少し遅めの昼飯を食う。開けられた窓からは人が行き交う声が聞こえて春らしい優しい日差しが差し込む万事屋の椅子に腰を掛けて今週のジャンプを何とはなしに読む。

そうだ、これが俺の望んでいる日常。

の筈だ。

なのになんだろう。
身体の真ん中にぽっかりと穴が空いてしまったようなこの虚無感は。

なんでこんなに満たされない。
なんでこんなに虚しいんだろう。





土方の顔を最後に見たのは一週間前だ。
非番の前夜に来た土方をいつものように迎え入れて、普通に普通じゃないセックスもした。それもいつものことだ。
そしていつものように寂しそうな顔をする土方を見送った。

唯一違ったのはその日のかぶき町市中見回りに土方の姿が無かったこと。
そしてそれからずっと土方の姿を見ていないこと。

今日も開けられた窓の外に土方の姿はない。

「……生きてる、よな?」

誰に問い掛けるでも無い。
敢えて言うなら自らに問い掛けるように呟いた言葉は誰もいない部屋に虚しく木霊するだけだった。


ジリリリリ!


道を行き交う人を眺めていた俺は突然鳴り響いた電話の音に少しばかり驚きながらも手を伸ばせば届く距離にあるソレを手に取った。

「はいはーい、もしもし万事屋ですけどぉ」
「あ、銀さん?オレオレ!いやぁー今日バイトで臨時収入入っちゃってさぁー。奢るから今夜呑みいかない?」
「あー、オレオレ詐欺なら俺は引っかからないんで他当たって下さーい。それじゃ」
「……ちょっと待ってェェ!俺だよ俺!長谷川だよ!」
「長谷川なんて知り合いはいません、それじゃ」
「スイマセンでしたー!マダオです!」
「あんだよ、まるで駄目なオッサン略してマダオかよ。なら最初からそう言えっつぅの。駄目だよー変なプライドは自分を駄目にするよ」
「………なんか、銀さん荒んでるね」
「あー、別に普通だろ。んで今夜何処?」
「ぎ、銀さん!……じゃあいつもの呑み屋で」

一方的に告げると電話は切れた。
奥さんに逃げられて暇を持て余してるマダオはそれはそれは嬉しそうだった。
これも万事屋の仕事の一つとして付き合ってやるのも悪くは無いだろう。





「おーい銀さん、こっちこっちぃ!」

あの後、特にやることも無かった俺は再び布団に舞い戻り二度寝を決め込んだ。
そして今、寝過ぎて重い頭に鞭打ちながら呑み屋の暖簾を潜った訳だ。

「今日はぁ俺の奢りだからー。じゃんじゃん呑んでくれよ!」

マダオは既に出来上がっていた。
この調子だと俺に電話した直ぐ後にでも店に行っていたのだろう。

「おっちゃん、熱燗一つ………ん?…」

無口な店の店主に酒を注文した俺はその肩越しに見えた個室にいる男に目を見開いた。

「……土方?」

見慣れた黒い着流しに身を包んだ土方は隣に座る幼い顔立ちの少年の肩に頭を預けていた。
赤く染まった頬と虚ろな瞳を見ると既にかなり呑んでいることが分かる。
でも今は夜の七時を回ったところ、と言うことは土方は今日非番だったと言うことだ。

何故だ?

土方はいつも非番の日の前夜万事屋を訪れていた。それどころか非番の日は必ず予定を空けとくようにと前持って知らされていた筈だ。

俺の足は無意識に個室の方へ向いていた。
後ろでマダオが騒いでいるが今はそんなことどうでもいい。

「なーにしてんのかな?」
「おや、旦那ァ」

くりくりとした目を面白そうに細めた少年は今にも目を閉じそうな土方の赤く染まった頬をツンツンとつついている。

「土方…?」

虚ろな瞳を覗き込めば驚いたように見開かれた瞳は次の瞬間気まずそうに逸らされた。

「…ふーん、そういうこと」
「え?」
「総一郎君、ちょっとコイツ借りるわ」
「どうぞお好きにー」

余裕綽々の声音に苛立ちながら状況が読み込めていない土方を半ば引き摺るようにして俺は店を後にした。





呑み屋からそれ程距離の離れていない万事屋まで足元の覚束ない土方を連れて行き、真っ先に万年床の布団に放り投げた。

「なぁ、いつからだ?」
「…何がだ?」
「いつから総一郎君に乗り換えたの?」
「……へ?」

まだ三月、暦の上では春と言えども夜は冷える。
そんな中を引き摺られるようにして歩いてきた土方はすっかり酔いも覚めてしまったようだった。

「まあいいや、とぼけるなら身体に聞けってね」

そう言って俺はポカンと開いた口に自分の着流しの端を詰め込み抜き取ったベルトで素早く両手を一纏めに縛り上げた。

「んんん!……う、んんぅ…!」
「あれ?痕とか全然ついてねぇじゃん。あの位のガキはそういうの好きそうなのに」
「…ん…ふうぅ!…」

ブンブンと振る首を無視しながら久し振りの肌の感触を楽しむ。
三日と開けずにセックスしていたせいかすっかり溜まってしまっている。

どうせ別れるなら最後にこの位しても許されるだろう。

俺は白い首筋に思い切り吸い付いて赤紫色の痕を残し、そこを舌先でなぞるように舐めた。

全く、どっちがガキか分かったもんじゃない。

真っ白い身体には綺麗にキスマークが付くけれど、直ぐに消えてしまうシルシなんて幾ら付けても何の意味も持たない。現に俺が一週間前に数え切れない程付けたキスマークは今は跡形もなく消えてしまっている。

「……ふ、うぅ……んんん!………」
「ちょっと黙ってな。お前変態だからこういうの大好きじゃん?最後までお前の趣味に付き合ってやるんだから感謝しろよ」

必死に何かを訴える土方を無視して舌を下へ下へと進めていく。
男の癖に可愛らしいピンク色した乳首に辿り着くと指で摘んだそれを舌先でこしょこしょと擽るように舐める。

「……………」
「……………」

土方はもう何も言わなかった。
顔を横に逸らしたままただじっと俺の愛撫を受けていた。
いつもならとっくに起ち上がり始めている筈のペニスも今日は先走りどころか起ち上がる兆しも見えない。

それでも俺はソレを引きずり出して丹念に舐め上げた。

「…………」
「…………」

部屋には土方のペニスに唾液を絡ませる生々しい水音だけが響いている。

いや、それだけじゃない。

「……ック…ぅ…ひく…うっ…ううぅ…」

土方は泣いていた。
流れた涙はシーツに大きな染みを作るまでに。

「…なんでお前が泣いてんだよ」
「…うっ…ひ、く……」

俺は一向に起ち上がる兆しの見えないペニスから口を離し、横を向いたまま泣きじゃくる土方の顔を上から見下ろす。

「なあ、何で泣いてんの?」
「……うう、…ひぅ…」
「…………もういいや。ほら、外してやるから…好きなようにしろよ」

両手を縛っていたベルトを外し、口に詰め込んだ着流しを抜いてやる。

俺はとことん土方の泣き顔に弱いらしい。

最初からそうだった。
コイツの泣かれると結局何でも許してしまう。

「……ぎん!」

背を向けた俺の首に回された腕と背中に感じる体温に俺は素直に驚いた。

「違う!俺は総悟なんか好きじゃない!……俺は、お前が……好き、……ひっく、ぅ……うう…」
「何言ってんの?」
「……ふ、ぅ…俺は、ぎんときだけが、好きなの…!……ぎんが、俺をきらいになっ…た……ひっく………」
「はぁ?」

これは俺の心からの疑問だ。
全く持って意味が分からない。

「…ひぅ…始めのころは、ぎん…優しかった…最近はつめたい…だから……」
「……だから、浮気したの?」
「…ちがう…相談、したんだ……」
「相談?」
「…そーごに…銀時が冷たいんだって…」
「何でよりによってあのこに…」
「だって、そーごは俺と銀時の恋のキューピーさんだから」

グズグズと鼻を啜りながら告げられた言葉に俺は噴き出しそうになるのを必死で堪えた。
なにしろ土方は至って本気だからだ。

「それで?沖田く………いや、キューピーさんは何て言ったの?」
「押して駄目なら、引いてみろって」
「なる程ね……」

またしても奴の差し金か。
この一週間、土方がかぶき町の見回りに来なかったのも全て。

「なあ土方、俺は別にお前に冷たくした覚えなんて無いよ?」
「でも、最初はもっと……」
「仕方ないだろ?俺の中でお前は隣にいて当たり前になっちまったんだから」
「え?」
「だからさぁ、お前と一緒にいるのが普通になりすぎたんだ。空気、みてぇな?」

そうだ。

いつの間にか早起きして通りを眺めるのも、飯を作って待ってるのも、ジャンプを読んでる時に裾を引っ張って邪魔をされるのも。

眩しそうに目を細めながら微笑む顔を見る為だし、疲れた身体は労ってやりたいと思う。
邪魔をされても怒らなくなったし、苦笑しながら頭を撫でてやるのも無意識な程に。

全てが俺の日常。
土方がいてはじめて成り立つ俺の日常だ。

「でも、俺はいっつもドキドキしてる…」
「俺だってドキドキするさ」
「……嘘だ、絶対俺のがドキドキしてる…」
「確かに俺は日常生活でドキドキしたりはしないけどよ、近づけばドキドキするし触れたいとも思うぜ?」
「……嘘だ、ぎんはいつも余裕で…」
「お前にはこの顔が余裕あるように見えんの?」

両頬を包みふいと逸らされた目を真っ直ぐ覗き込む。

「なあ、お前に捨てられるかもって不安になってる俺は余裕に見えんの?」

困ったように寄せられた眉に口付けて、形の良い鼻の頭にも口付けて、きゅっと綴じられた瞼にも口付ける。
俺の気持ちが伝わるように、付き合い始めた時のことを思い出しながら。

人間初心忘れるべからずとはよく言ったものだ。

「…ちょ、んっ…ぎん…くすぐったい……」
「んー?お前には俺の愛が伝わってないみたいだからねー。ほら、触ってみ?」
「………ドキドキ、してる」

土方の手首を掴み脈打つ胸に手のひらを押し当てれば伝わる鼓動に土方は俺を見上げた。

「ちゃんと伝わった?」
「…うん、ぎんが俺のこと好きじゃないってよく分かった」
「はぁあ!?ちゃんと人の話聞いてた?」
「だって、そうだろ?銀は俺のこと大好きだもんな!好きなんかじゃ足りないもんな!」

超プラス思考土方、略して電波土方の復活の瞬間を目の当たりにした。

「ぶざけんな。大好きなんかじゃねぇし」
「意地はんなって☆」

このイライラさえも心地よく感じてしまう俺もかなりこいつに毒されているらしい。

「ばーか、寧ろ愛してるっつーの!」

こいつの真っ赤に染まった顔が見れるなら、たまには調子に乗らせてみるのもいいのかも知れない。

「よし、じゃあ今日は反省会だ。初心忘れるべからず!」
「じゃあ今日はノーマルプレイなんだな!」
「何でだ!そこは普通デートとかもっと可愛らしいこと言うとこだろうがァァ!」
「何言ってんだ?始めからお前は俺の泣き顔に欲情してただろ?」

前言撤回。
やっぱりコイツは調子に乗らせるべきではない。しかも今回ばかりは真実だから何も言い返せない。

「それに、銀時も溜まってる筈だし」
「………うるせー、お互い様だろ…」
「……ふふ…押して駄目なら引いてみろ作戦、大成功だな?」
「……だーもう!!前言撤回!!今日はお仕置きプレイに変更だコラ!」
「もう、やっぱりしたいんじゃねぇか。素直じゃねーなぁ」
「……………」
「それに何だかんだでいつもお仕置きじゃねぇか。このス・キ・モ・ノ☆」
「…お前もう黙れ」

俺は黙っていれば永遠に喋っていそうな口に噛みつく様に口付けた。

…んぅ…ふ、ぁ……」

サラサラと指の間をすり抜けていく黒髪を掻き混ぜ、縋り付くように首に廻る腕を撫でる。俺は満足するまで咥内を味わうと最後にぷちゅっ舌を吸って唇を離した。

「…ふぁっ…ンッ…」
「お前は色白だから綺麗にキスマーク付くよな」

顎から首筋にかけて舌を滑らせ、耳の付け根に一つ、鎖骨にまた一つとシルシを残していく。

「…ぁ、…俺も、つけたい」
「キスマーク?」
「…ん」
「いーよ、好きなだけ残しな?」

恥じらうように逸らされる瞳に何を今更と苦笑しながら洋服のファスナーを下ろす。

「…ぎん…白い…」
「お前のが白いし、それに傷だらけじゃん」
「…でも、きれいだ。俺今凄いドキドキしてる……あ、…これ、俺が…?」
「あー、そうそう。容赦なかったから多分一生消えねぇよ」
「……一生?」

土方はそう呟くと俺肩に残った傷を愛おしそうに撫でた。

「…ふふ…一生かぁ…」
「なに?これだけで満足?」
「…まさか」

ふにゃっと嬉しそうに笑いながら自らの残した傷跡を撫でる土方の顔を挑発するように覗き込むと土方はその傷跡を尖らせた舌先でなぞり、吸い上げる。

「……ん、ちゅ…」
「へったくそ、そんなんじゃ痕残んねーよ」

ちゅうぅっと力一杯に吸い付くだけで上手く痕を残せない土方は俺の鎖骨に吸い付いたまま悔しそうに俺を見上げた。

「こうやって残すんだよ」
「…ぅ、ちゅっ……ひゃぅっ…」
「ほら、きれいだろ?」

ちゅうちゅうと鎖骨に吸い付く土方を無理矢理引き剥がし、薄い皮が膜を張る臍の上に吸い付けば敏感な土方はビクンッと反応してから自らの腹に咲いた鮮やかなキスマークを見て唇を尖らせた。

「もっとキスマーク残して欲しいとこあんじゃねぇの?下、大変なことになってるけど?」
「…うー、だって一週間ぶりだから…」
「さっきは全然勃たなかったのにな」
「……あ、愛のないえっちは好きくない…」

ぷくっと膨らんだ頬をツンツンとつつき、ムッと据わった目に困ったように笑いかけながら精一杯の謝罪の意味を込めて額にちゅっと口付ける。

「ごめん、今度は目一杯愛してやるから……先にへばんなよ?」
「大丈夫だ!少しばかり重たい愛も俺は受け止める!」
「……あー、そうですか…」

重たいのはどっちだと言いたいが今言えば面倒くさいことになるのは目に見えている。だから俺はこの一年で培った流し技で見事に土方を一掃した。

「キスマーク、どこに付けて欲しいの?」

ニヤリと笑って告げれば土方はもじもじと膝を擦り合わせてチラリと俺を見やった。
そうだよコレだよコレ、やっぱ人間恥じらいを捨てちゃいけねぇよ。

「…ぺ、ぺにす…」

しかし土方の口から出た言葉は余りにも直接的な物で、俺の萌えゲージはみるみるうちに降下していく。

「はぁあ!?何だよペニスって!お前そこは“ココ”って照れながらM字開脚するところだろうが!それかせめて“チンチン”とかにしろ!何か可愛くて許せるから!」
「分かった分かった、このスキモノさんめっ!」
「……おーし分かった。お前のピンクいぺにすに濃ゆーい痕残してやるから!」
「…ぅあ…ちょ、待った…!」

額に青筋を立てながら土方の震えるペニスをパクリとくわえた俺の髪を引っ張って阻止をしてくる手を掴み、俺は仕方無く口を離した。

「何だよ…お前もう臨時体制じゃん」
「俺も、舐めたい…」
「はあ?どこを?」
「ち、ちちちち」
「血?出てねぇけど?」

顔を真っ赤に染めてパクパクと口を開閉する土方に俺は意味が分からず首を傾げる。

「違う!ぎんのニブチンコ!」
「…全然鈍くねぇけど?何なら今すぐ試してみる?」
「……うぅー…」
「何だよ?言いたいことがあんならはっきり言え」
「………ち…」
「ち?」
「…………ちんちん、舐めたい…」

ぷしゅっと音がしそうな位、全身を真っ赤に染め上げた土方は枕に顔を埋めてしまう。唯一見えている耳までも真っ赤だ。

「何を今更…そんなこと?」
「そ、そんなことって…」
「だってお前今までのプレイでもっと凄いこと言ってきたじゃん」
「だって…それはもう頭ん中真っ白で訳が分かんなくなってるから…!」
「ふーん?訳分かんなくなる位気持ちいいんだ?」
「…………」

土方はシーツをきゅっと掴みながらも小さく頷いた。
土方が素面の状態で優位に立てるのは初めてかも知れない。何しろ電波は基本的に人の話を聞かないからだ。
俺は不覚にもちょっぴり感動していた。

「じゃあ舐め合いっこしようぜ?すぐに訳分かんなくしてやるよ」

チラリと俺の目を盗み見るその瞳は不安と期待で揺れている。

「でもそんな格好じゃなんも始まんねぇなあ…なあ、俺の顔跨げよ」
「…え?」
「早くしないと舐めてやんねぇぞ」

ちろりと舌を出せば土方の喉がゴクリと音を起てる。そしてゆっくりと上半身を起こし、震える手と膝で赤ん坊のように歩き、寝転ぶ俺の横まで来ると次の瞬間、俺の顔の上には白い太股がふるふると震えていた。
その速さは異常だ。気づけば俺の眼前一杯に広がる土方のペニス。既に大分興奮しているのだろう、先端にプクリと浮いてきた先走りが糸を引きながら俺の頬に垂れた。

「もうこんなに溢れてる」

尿道口からぷくりと溢れ出した雫を親指で拭う。しかしそれは拭っても拭っても止まることを知らずに量を増した。
俺は土方が期待に潤んだ瞳で俺を見ているのにニヤリと笑い返して震えるペニスを口に含んだ。

「ぅ、ん…!あ、ぎん…ちゅってして?」
「なんだよちゅって」

可愛いお願いに苦笑しながら亀頭を口に含み吸い上げる。
ビクンと震えて離れようとする腰を掴み竿まで含めば土方は俺のペニスに頬摺りしながら喘いだ。

「ひあっ!ぅ、ぁん」
「ひーじかた?お口がお留守になってるけど?」
「ぁ、どこの…AV、の台詞、だよ…!」

土方の目尻から溢れた涙が俺の敏感になったペニスを伝う。
快感のあまり泣いているのかと土方の顔を一瞥すればひくひくとしゃくり上げながら号泣していて、俺は驚きにくわえたペニスをポロリと吐き出した。

「…え、ちょ、なんで泣いてんの?」
「ふぅ…ぇ、だって俺の知らないとこでAV、見たんだ、ろ!…どーせ俺は、乳ねぇし!?まん……ぅぶ!」
「ちょ、なに言ってんのお前えええ!びっくりだよ!銀さんびっくり!」
「分かったら、言って見ろ…ふ、なんてタイトルのやつだ…!」
「だから、見てねぇって!全てお前の妄想だ…。確かに俺は元々ノーマルだけどな、今は女のまんこ見るよりお前のちんこ見た方が興奮すんだよ残念なことにな!」

キョトンと俺を見る潤んだ瞳を真剣な眼差しで見返せばそこかはポロリと落ちた涙が俺のペニスに零れ落ちて、生温かい液体が伝っていく感覚に眉をよせる。

「本当だな?家宅捜索しても出てこないな?」
「出てきません」
「…………」
「出てきませんとも!」

疑わし気にじっと見つめてくる瞳に若干焦りながら返せば土方はにっこりと微笑んで俺のペニスにちゅっちゅっと口づけた。

「んぅー…おまえは俺以外の穴に欲情しちゃだめだぞー?」
「ちんこに話しかけるな」
「ばかやろう!このちんこさんだってお前の一部なんだぞ?だからそんな妬くなって☆」

交信し始めた土方を白い目で見ると視界の端にチラチラと土方の勃ち上がったペニスが見え隠れする。
そういえば今は真っ最中だったと思い出した俺は視線を上にやり土方のペニスを口に含み、中指を後孔に挿入した。

「んっ、ちょ…急にいれんな、!」
「勝手にほぐれてきてるから痛くないっしょ?」
「そ、だけど……ひぁう!」
「もうお前うるさい。お前が喋ってたら一向に進まねーよ」

土方の後孔は回数を重ねるごとに自然と弛むようになり、今では指位なら潤滑油なしで入るようになった。
それでもちゃんと締め付けてくるあたりやっぱり名器なのだろう。

「ふ、ぅあ!…んっ…ぶ…ゃ、ああ!」
「なんかお前、前立腺ちょっとおっきくなってね?」
「そ、んなこと…は、やぁあん…ふぁ!ぎんが…いっぱい弄る、からぁ!」
「ふーん?…ねぇ、銀さんと会わない間自分で弄った?」
「…ッ…!」

ビクン、と震えて必死に首を振る土方の髪が太股を掠めてくすぐったい。

「やっぱりな。なぁ、どうやって弄った?こう?それともこうかな?」
「ひゃああああ!…ぁ、それ…やだぁ…あううう…」

コリコリに肥大した前立腺を引っ掻いたり摘んだりすると土方のペニスから溢れる先走りは量を増し、俺の顔をどろどろに汚した。
吸いつきたいのは山々だが、今土方のペニスをくわえてしまったら言葉責め出来ないのが残念だ。今のこの美味しい状況でそれは勿体な過ぎる。

「土方のやらしい汁で銀さんの顔べちゃべちゃなんだけど?」
「はぅ、あ!ごめ…なさ……ぁ!ゆび、ゆび抜いてぇ…!」
「んー、じゃあ土方の締まりの悪いおちんちんのせいでこうなったんだから自分で綺麗に出来るよね?」
「…は、ふぇ?」

俺のペニスに頬摺りしながら意味が分からないと言わんばかりの視線を寄越す土方のペニスをちょんとつつけばまた性懲りもなく溢れ出した先走りが俺の唇に落ちる。

「綺麗に、出来るだろ?」

じっと見つめる土方から目を逸らさずに舌先を伸ばし、ぷくりと先走りが浮いた先端をチロリと舐めてやれば、土方はぶるっと震えて恍惚と目を細めコクリと頷く。
俺はそれに微笑み返すと土方の後孔から指を引き抜き、土方の体液でテラテラと光る指を白い尻になすりつけた。

「ぎん…」
「んー?」
「汚して、ごめんね?」

ゆっくりと体制を変えた土方の顔が目の前にある。
目を閉じ、紅い舌で頬から順番にチロチロと己の先走りを舐めとっていく土方は何だか猫みたいで可愛い。

「ひじかた」
「んぅ?」

俺の口端を舐めている土方の汗で湿った黒髪をくいくいと引っ張ると舌を出したままの間抜けな顔があって、俺は苦笑しながらその舌に吸い付いた。

「…ふ、ぅ…んぶ、ちゅ…」
「は、…土方、乗れる?」

潤んだ瞳を真っ直ぐ見つめれば唾液で光る唇をちゅっと吸われて、土方が離れていく。
直ぐに勃ち上がったペニスの根元を掴まれる感触がして気持ちよさに溜め息を吐いた。

「……ふ、はぁ…ん、…んんぅ!」
「あー…すっげ、」

初めの頃は上手く挿れられなくてベソかいてた土方が今では上手に体制を取りながら俺のペニスをどんどんくわえ込んでいく。
今でも泣き虫なのは変わらないがそれでもセックスの面では大分成長したと思う。それもこれも三日と開けずに教え込んだ俺の教育の賜物なんだと思うと妙に感慨深くなってしまう自分がいたりする。

「ふぁ…は、入ったぁ」
「ん、えらいえらい」

一息吐く土方の腕を引っ張り口付ければ体制が変わったせいで敏感な身体がビクンと震え柳眉が寄せられる。
きゅっと締まりぐねぐねと動く内壁に今すぐ腰を動かしたいのを我慢して、手を伸ばし完勃ちした土方のペニスをぐりぐりと弄ると見開かれた瞳が助けを求めるように揺れた。

「ふううう!…んんう、ふ…うう!」
「…ん、…は…どろどろ」
「…は、やあぁあん!」

唇を離せば顎先から真っ白い首を晒して土方が喘ぐ。
絶えず尿道をいじくり続ける俺の手から逃れるように腰を揺らすが快感を求めるように揺らしているようにしか見えなくて、震える腰を掴み俺も下から欲望に任せて突き上げる。

「…ゃ、だめ!…はん、ぎんは…動いちゃめぇ…!」
「は、それじゃ銀さんいつまでたってもイけませんー」
「あっ、あっ!」

俺の肩に両手を付き目を瞑る土方は何も言えずにただ喘いでいる。
上を向くペニスが律動と共にぷるんぷるんと震えながら濁った先走りを飛ばす。
俺は土方のペニスの根元を掴み、イけないようにすると腰の動きを早めた。

「ひぃっ!…ぁ…なんで…」
「久しぶりだし、一緒にイこ?」

涙目の土方に微笑めば辛いだろうにコクコクと頷く姿が愛らしい。

「あぁん!ゃ、そこやだ…!」
「うそつけ。ここ、止めてるのに溢れてくるよ?」
「ゃ、やあ!さわっちゃだめ、だめ…!」

前立腺を堅い先端で押し潰すように突き上げれば土方はビクンと震え、戒めている筈のペニスから溢れる先走りが量を増す。

「ふ、ふぇ…ゃ、…イッちゃ…!」
「あー、これはイくね」

がくがくと異様な程震え出した身体と反っていく背筋に絶頂の気配を感じて、腰を突き上げる動きからぐりぐりとこねまわす動きに変える。
更に戒めた手はそのままに開いた手で尿道を引っ掻いてやる。

「…あっ!…うぁぁああ!」
「…ぅ、」

ビクン、と一度大きく震えた土方は見開いた瞳からぼろぼろと涙を零し、続いて断続的に震えながら絶頂に達したようだ。
戒めたペニスに解放出来なかった熱が暴れててらてらに濡れた亀頭がぶるぶる揺れている。

「…はぁ、はぁ」
「ひーじかた?大丈夫?」
「…あ、あっ…」
「あれ、飛んじゃった?」

ガクンと力なく下りてきた上半身に頬をぺちぺちと叩けば色の無い瞳がゆっくりと俺の姿を映す。
緩く腰を振ると気持ちよさそうに目を細め恍惚とした表情で涎を垂らした。

「ほんとイキやすい身体になっちゃって」

無論そうしたのは俺だが、すっかり理性を無くして無心に腰を振る土方にポツリと呟いて俺も腰を振った。

「は、はぅんん!きもち、ぐりゅぐりゅって…」
「これ気持ちいの?」
「んぅ!ん…きもち、の!ぎん、もっとぉ…」

ちゅっちゅと顔中にキスの雨を降らす土方に苦笑して腰の動きを早める。
そろそろ限界が近い。

「ッ、ひじかた、イくよ?」
「ん、ちょーだい…?」

潤んだ瞳に色が戻ってきたことに驚いて頭を引き寄せ唇を塞いだ。

「んぅ?…ふぅうう…!」
「…ッく、」

ついでに戒めていた指を離してやれば、だらだらと溢れる精液とぎゅるぎゅると動く内壁に俺も白濁を注ぎ込んだ。

土方は溜まりに溜まった精液を吐き出し終えると、ガクンと倒れて意識を飛ばした。





目を覚ますと腕の中の土方が俺のことをジッと見つめていた。
俺がぼんやりとそれを見返すと土方はうっすらと頬をピンクに染めて俺の胸に顔を埋めてしまう。

「なに、してんの?」
「ぎ、ぎんの顔を見てた」
「ふーん?あんまりイケメン過ぎて直視出来なかったろ?」
「……うん」

いや、うんとか言われても。
俺別に自意識過剰じゃねーし冗談で言ったつもりだったんだけど。

土方は絶賛デレ期らしい。

「お、お前も可愛いよ?」
「……それはきもいかも知れない」
「おいいい!人が折角甘い感じにしてやろーと頑張ってんのに!」
「ぎんは、そのままでいいんだ」


「そうですぜぃ、旦那ァ」


ふにゃっと笑った土方があんまり可愛いものだから思わずそのぷっくりした唇に口付けようとした俺は頭上からした声にギクッと肩を揺らした。

「おはようごぜーます」
「あ、そーご!」
「総一郎、くん?て、こら土方!お前何にも着てないんだから出ちゃだめ!めっ!」

ずるずると這い出した土方を腕の中に閉じこめて視線を動かせば素敵なベビーフェイスがにっこりと微笑んでいる。

「んぶ!なあそーごっ!お前の作戦大成功だったぞ!ぎんってば昨日激し………うぶ!」
「総一郎くんんんん!君、気配消して立たないでくれるかな!?てか帰ってくれないかな!?」
「おーおー、病気にでも掛かったみたいなキスマークでさァ。旦那も隅に置けねぇなぁ」
「ぎんはな、恋の病なんだ!おれにな!」
「ぷっ。旦那ァ、そりゃ重傷でさァ。いい医者紹介しやしょうか?」



「………お前ら帰れ」


涙で前が霞んで見えた。



(俺に押して駄目なら引いてみろ作戦は通じないゾ☆ツンデレさんめっ!)
(うるせええええ!じゃあ押し倒してやらあ!)



end




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