「…ふ、ちゅ」
「こらこら、せんせーソコじゃないでしょ?」
「ン…」

舌を指先で擽られ、俺はそれだけで下半身にズクリと熱が集まるのを感じた。名残惜しみながらも指先から唇を離し、拗ねた様に尖らせた坂田の唇を覆うようにキスをする。ずっとずっと欲しくて欲しくて堪らなかったものだ。少しぐらい貪っても怒られないだろう。
俺はふっくらとした唇を割って肉厚な舌に自らの舌を絡ませた。

「ん、ふぅ…ぢゅ…ふ」
「…は、…ふ…」
「…ンンッ…ふ、うぅ…」

先に舌を絡ませたのは俺の筈だったのに、いつの間にか主導権を握られて後頭部に回された大きな掌がくしゃくしゃと後ろ髪を掻き回すのにうっとりと酔いしれる。

「…ぅ、ちゅ…ふはっ…!」
「せんせ、大丈夫?」
「だい、じょぶ」
「ココは大丈夫じゃなさそうだけどな?」
「…ぁっ…やん…」

ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべながら先程のキスだけですっかり反応してしまった一物をきゅっと握られて、俺は女みたいな声で喘いでしまう。

「かーわいい声」
「…ゃ、いう…な…!」

きゅむきゅむと下から上に向かって絶妙な力加減で握ってくる坂田の手から逃れるように腰を引くが、坂田はそれを許さないとでも云うように俺の腰をがっちりと掴んで離さない。俺ばかり気持ちいいのは嫌だ。さっきだって俺ばかりが一生懸命で一人で興奮して、坂田はなんの反応も見せなかった。そうだ、よく考えたら坂田も男とヤるのは初めてなのかも知れない。もし、坂田が俺で勃たなかったら俺は一生坂田とセックス出来ないと云うことになる。

「…あ、勃って…る?」
「へ?そりゃもうビンビンですけど?」

恐る恐るズラした視線の先にある一物はしっかりと上を向いていた。

「だって、さっきは…」
「俺はね先生、愛の無いえっちはしたくないの。それに俺攻められるより責める方が性に合ってるみたい」

そう言ってカリッと先端の窪みに爪を起てられ、俺は一気に募る射精感に爪先を丸めて堪える。

「あ!…やぁっ、ん…」
「せんせ、気持ちい?」
「ん、…うん…きもち、い」

くちゅくちゅと溢れる先走りを先端に広げられ、スルスルと肌を撫でていた片手が胸で小さく主張する果実を摘む。

「…ひゃうぅ!…あ、ゃ…ちくび、だめぇ…!」
「うそつき」
「あ、…あ!…嘘じゃ、ない…かゆ、かゆい…からだめぇ…」
「へぇ?じゃあ掻いてあげるよ」

自分でも無理がある言い訳だとは思ったが、いつもは付いていることさえ忘れてしまうようなところがこんなに感じるだなんて思わなかったんだ。
男の乳首なんて有って無いようなものだし、ソコは女だけが感じることを許された特別な場所のような気さえしていた。

「やああぁ!…だめっ…ゃ、いた…」
「痛くないでしょ?」
「…ふ、ふぇ…あぅ…!ぁ、ンンッ!」

坂田がこんなに鬼畜だとは思わなかった。いつも友達といる時の坂田はヘラヘラと笑っていて正直何を考えているのか分からないからだ。だが、どんな坂田を見ても俺にとっては新鮮で、坂田になら何をされてもいいと思ってしまう辺り相当末期なのかも知れない。そんな馬鹿なことを考えている間にも坂田の指は忙しなく動いていて、コシコシと乳頭を擦られ、先端の小さな窪みはカリカリと爪先で擽られている。
その度に下半身に集まっていく熱は身体中で渦を巻き、解放を望んでビクンッビクンッと震える自らの一物はうっすらと濁った先走りを零していた。

「…すげ、先生乳首だけでイケんじゃね?」
「やぁ、むりぃ…!…ぁ、も…イキ、たい…!」
「違うだろ先生?して欲しいことがあるならどうするんだっけ?」
「ぅ、あふ…触って…?」
「どこを?」

触って、と言うだけでも顔から湯気が出そうな位恥ずかしかったのに、俺の反応に気を良くした坂田は更に調子に乗って高校生らしからぬいやらしい笑みを浮かべて俺の頬を撫でた。

「先生、言わなきゃ分かんねーよ?」
「…ゃ…うそ、つきぃ…!」

涙目で坂田を睨み付ければ坂田は苦笑してまるで子供にするように俺の頭を撫でる。

「意地はんなって」
「…うぅ…坂田の、いじわる…」
「もう限界だろ?」
「…ッ、ぁ」

勃ち上がり絶えず震えて粘着いた先走りが垂れる竿を下から上へ指先でツゥッと撫でられて、解放を望む俺の身体のどこかで理性の糸が切れる音を聞いた気がした。

「ふ、ぁ…も、だめぇ…ココ…さわって…イかせて…!」

きゅっと瞑った瞳の端から新しい涙が零れ、頬を伝っていく。
俺は自ら足を開き、腰を浮かせて勃ち上がる一物を見せ付けるように腰を揺らした。

「良くできました」
「ぇ、あ…や、なに…?…ひゃうぅ!?」

突然一物が生暖かい何かに包まれて俺は驚愕と快感にパチッと目を開き視線を下げる。

「あ!…やだ!」
「ほのままひってひひほ」
「ゃ、喋っちゃ…だめぇ…!」

迫り来る射精感を必死で堪える。
しかしそれはぢゅうぅっと全て吸い尽くすかのように思い切り吸われ、無駄に終わってしまう。

「…あ、あぁ!…だめ!…イッちゃ、から…くち、離してぇ…!」
「ふぅ、ぢゅぅ…」
「…いあぁぁぁぁあ!」

ドクンッと弾けた白濁は全て坂田の咥内に消えていく。最後まで絞り尽くさんばかりにちゅうちゅうと吸われて、俺はその都度ビクンッと腰を揺らす。
やがて白濁を出し終えて俺が力を抜くと同時にゴクリとナニかを飲み込む音が聞こえた。ナニかなんて考えたくもないが。

「ゃ、飲むなよ…」
「ん?先生のだから美味しいよ?ご馳走様でした」
「…ッ、ばか…」

見せ付けるように口端に残った俺の白濁ペロリと舐めるその仕草にさえ感じてしまいそうな己が怖い。

「せんせ、ケツこっち向けて?」
「え?ゃ、そんな…無理、だ」
「今更何言ってんの。さっき嫌っつう程観察させて貰っちゃいましたけど?」
「…う、じゃあお前もこっち向けろ!」
「はあ?先生俺に突っ込みたいの?」

若干後退りながら眉を垂らす坂田に俺は苦笑した。
俺の妄想の中で突っ込むのはいつも坂田の方だったし、実際俺は坂田相手に挿れたいなどと考えたことはないからだ。

「ばーか、違げぇよ。俺ばっかり恥ずかしくてずりぃだろうが…だから、俺にもリベンジさせろ!」
「しゃぶってくれんの?」

尻尾が見えそうな程の喜び様で大の字に寝転ぶ坂田に、俺は坂田が何をそんなに喜んでいるのか分からずに首を傾げた。

「別に寝っ転がらなくてもいいんだぜ?」
「誰が先生だけにしゃぶらせてやるって言った?」
ニヤリと笑う坂田に俺は背中に冷たい汗が流れるのを感じる。
「早く上乗って?」

妖精と見間違える美貌で微笑みながら告げられた決定打に、俺は自らの行動が全て裏目に出ていることを知り溜め息を吐いた。

「ちくしょー…」

羞恥から真っ赤に染まった頬と泣きすぎて腫れた目尻の情けない顔で坂田を睨みつけながらその小綺麗な顔を跨ぐ。
先程達したばかりだと云うのに、もう復活の兆しを見せる己の一物から溢れる先走りが透き通った肌に糸を引きながら垂れて、軌道を残しながらその頬を伝っていく様に興奮して俺は更に一物が育つのを感じた。

「わお、絶景」

グッと腰を引き寄せられ、坂田の吐息が俺の震える一物を掠める。
しかし坂田は、期待に震える一物には触れずに尻たぶに両手を置き、形が変わってしまうんじゃないかと心配する位に揉みしだくだけだ。

「…っン…」
「あーあ、やっぱりちょっと切れちゃってる」

グッと開かれた尻たぶの間に突き刺さる視線は紛れもなく坂田の物で、俺は耐え難い羞恥にこのまま焼き死んでしまいそうだ。

「…ゃ、見るな…!」
「なんで?ちっちゃくてピンク色で可愛いのに」
「言うな、ばか!…ッひ…!?」

少しの痛みと共にヒクヒクと収縮を繰り返す後孔にひちゃりと触れた生温かい感触に俺は小さな悲鳴を上げ、目の前で勃ち上がる坂田の一物を両手で掴んで頬擦りする。

「ぅ、急に握んなよ先生…銀さんの息子デリケートなんだから」
「ん、はぁ…ちょっと、おっきくなった…?」
「…っ、そりゃなるでしょ!」

ビクンと震えて硬度を増した坂田の一物に気を良くした俺は、浮き出る血管に沿って舌先を滑らせる。

「このやろ…!」

段々と勃ち上がって行く坂田の一物にペロペロと舌を絡めていた俺は、再び感じた違和感に坂田の先走りでドロドロになった口を離した。

「ひゃう!?…ぁ、そんなとこ…舐めちゃ、だめ…だ!」
「なんで?」
「やだぁ…きたな、から…!」
「汚くなんかねぇよ。それに先生怪我してるから消毒してやんなきゃな?痛みなんて感じなくなる位ドロドロにしてやる」

人間の唾液に傷を癒す作用は無いと教師として教えるべきか否か、そんな下らないことを考えていた俺は己の震える一物越しに見える坂田の顔にまたドクリと心臓が跳ねるのを感じた。坂田の目はスッと細められていて、口角はいやらしく上がり、形のいい唇が綺麗に弧を描いている。その妙に男臭い顔に俺は更に一物を大きくした。

「…ぁ、…んうぅ!」
「ほら、先生もお口が留守になってるぜ?」
「やぁ!…だって」

ぴちゃぴちゃとしつこい位に舐め回された後孔は最早感覚を失っていて、最初は不快感と違和感しか生まなかったと云うのに今は快感だけを如実に伝えている。
俺の顔が坂田の先走りでドロドロなように、きっと坂田の顔はも俺の先走りでドロドロだろう。

「はふ…じゅぶ、ぅ」
「ん、せんせ…上手だよ。ご褒美あげる」

夢中になって坂田の一物に舌を絡ませていた俺はすっかりとろけた後孔に感じた異物感に目を見開く。歯を起てなかった自分を褒めてやりたい位だ。

「ふはっ…ん…ゃ、なに…?」
「ん?もう痛くないでしょ?」

確かに痛みはない。だが込み上げる吐き気にも似た異物感に俺は思わず眉を顰める。この異物感の正体が坂田の指だと分かるまでそう時間は掛からなかった。
先程自分で慣らした時は坂田の一物を受け入れることしか頭に無くて、痛いとか気持ち悪いとか考えている余裕は無かった。

「んー、男でも女みたいに感じる場所があるって聞いたんだけど…」
「ぅ、く…ぜんりつ、せん…?」
「そうそうソレ!」

知識だけは無駄にあるが、小説や物語の中の様に初めての物同士で見つけて、ましてや快感を得るなんてことは無理なのかも知れない。
実際、今俺が感じているのは紛れもない異物感と不快感で快感とはかけ離れている。ぐちゃぐちゃと体内を擦り上げていく指が坂田の指でなければ俺の一物はとっくに萎えてしまっているだろう。

「ぅ、く…ふ…」
「んー、見当たらないな…」

抜いては差しを繰り返し、内壁が坂田の中指に馴染んだところで人差し指が挿入される。
僅かな痛みと、指が差し込まれる度に襲ってくる吐き気を唇を噛みしめて堪えた。

「先生、気持ちくない?」
「…ッ、んなこと、ねぇよ…」
「やっぱり今日は止めとく?俺もっと勉強してくるからさ」

下から聞こえてくる声は優しいもので、俺は経験の無い己を心底疎ましく思う。相手は高校生で、セックスの経験があるとしてもそれは女相手の場合だ。ここは年上の俺がリードしてやらなければならない場面なのに、坂田に任せきりで坂田に翻弄されて。尚且つ性欲旺盛な高校生に寸止めさせているなんて、情けなくて涙が出てくる。
確かに気持ち良くは無い、寧ろ気持ち悪いし痛いけど、誰だって初めから気持ち良くなんてなれないし痛みは必ず伴うものだ。それでも繋がりたいと思うから人間は痛みを堪えることが出来るのだろう。
痛いし気持ち良くはないけど、俺は坂田と繋がりたい。

「ふ、ぅ…う…」
「え、何で泣いてんの?そんなに痛かった?」

突然子供みたいにしゃくり上げだした俺に坂田は戸惑ったように眉を下げて、俺の下からすり抜けると俺を膝の上に抱えて宥めるように頭を撫でた。

「違っ…抜いちゃ、やだ」
「へ?」
「抜くなっつってんだよ!」
「でも…」
「でもじゃねぇ!…女だって初めては痛いって言うだろ?」
「だって先生は男じゃねーか…」

唇を噛んで俯いてしまった坂田に俺は苦笑するしかない。結局坂田だって最後に引っかかるのは「男」と云う事実で、それは変えることが出来ない。
だが、それでも坂田は俺に惚れて俺を選んだ。言いたいことははっきり言葉にしなければ伝わらないと言った。
だから俺はもう逃げない。例えこの行為が痛みしか生まないとしても、そこには少なからず愛情があるし、何より俺がそれを望むからだ。

「…俺は」
「ん?」
「俺はお前と繋がりてぇよ」
「先生、」
「逃げんなっつったのはテメェだろ?」

坂田の首に腕を回し、額を合わせて瞳を覗き込む。初めは驚いたそぶりを見せた坂田も俺の懇願に近い情けない顔を見て口を弛めた。

「もー、何て顔してんの…せんせ?」
「お前のせいだろ…」
「はいはい、ごめんね。ちゅうしてあげるから許して?」
「…ん」

触れるだけのキスをして唇が離れていく。坂田は妙に吹っ切れた顔をしていた。

「続き、しよっか?」
「…うん」

優しく微笑みながら頭を撫でる坂田に俺も微笑み返し、ソファーに横になる。
未だに体内に埋まったままの坂田の指の感触をリアルに感じてその異物感に少しだけ眉を寄せた。

「ン…」
「ずっと挿れっぱなしだったから指がふやけそう。ちょっと一回抜くけど、いい?」
「ああ、分かっ……ひあああ!?」
「え?」

坂田の指が数回上下に動き、抜けていく時の排出感と共に襲ってきた電流のような感覚は今まで感じたことのない紛れもない快感で、俺は暫く息をすることも忘れて口をハクハクと鯉のように閉開するしか無かった。

「は、ぁ…あ…なんだ、今の?」
「ココ…?」
「あっ、あうぅ!…やめ、そこは…だめだ!」
「へーえ?…見―つけた」
「…ぁ、…あ…?」

断続的に襲ってくる凄まじい快感の中で恐る恐る目を開けると何とも言えない黒い笑みを浮かべた坂田の顔があった。

「見つけたよ、先生の前立腺」
「ぜん、りつ…せん?」
「そう、ココね。こんなに小せぇんだもん、見つかる訳ねーよ」
「…ひあっ、きゃああ!」

本当に小さなその快感を生むポイントを確かめるようにコリコリと擦られる度に、尿意にも似た今まで経験したことのない快感がせり上がってくる。

「すげ、さっきまでヘニャヘニャだったのに」
「や、はぁ…もお、そこやだ!…だめぇ…」
「んー?気持ちいいでしょ、ココ」
「ひやぁぁあ!だ、だめ…ホントにぃ…ふ、ぅ…」

頭の中が真っ白になって、自然と腰が浮いていく。いつの間にか爪先立ちになった足はプルプルと震え、太股の内側が痙攣しているのを感じる。
こんな快感、知らない。

「せんせ?腰、揺れてるよ?」
「ゃ…!知らな…ぁ、ん!」
「うそつき」
「…ぁあ!…う、そ…じゃない…!」
「じゃあ先生、今どんな感じか教えてよ?俺馬鹿だから分かんねー」

片眉を吊り上げて唇を醜く歪めた坂田は内部の指の動きはそのままに、俺の首筋に舌を這わした。

「せんせー、中はどうなってるんですか?」
「ぅ、あ…あ、熱い…!」
「どんな風に熱いの?」
「…ッ、ぐちゃぐちゃ…してる…!」
「うん、俺の唾液と先生の先走りで濡れ濡れだね」
「…ふ、ぅ…や、耳…やだ…!」

耳元に囁くように吹き込まれる卑猥な言葉の数々と、ぴちゃぴちゃと直接鼓膜に響いてくる唾液の絡まる音に頭が可笑しくなってしまいそうだ。
羞恥で焼け死にそうな程なのに、確かに喜びと快感を得ている己の身体に溜め息が出る。

「先生、前はどうなってるんですか?」
「ひっ…!…ん、見りゃ分かる、だろ!」
「んー?俺は今先生の耳に夢中だからさァ、どうなってるのか教えてよ」
「…ひゃあああ…!も、でるっ…!」

耳の穴にねじ込まれた舌はそのままに、坂田のゴツゴツとした手は下に延び、勃ち上がり限界を訴える俺の一物をキュッと握りしめる。牛の乳を絞る要領で下から上へリズミカルに握り込まれて限界を訴える身体がガクガクと震えた。

「ほら、どうなってるの?何が出そうなの?」
「…ふぇ…ぁ、そんな…言える、わけな…だろ…!」
「言葉にしなきゃ伝わらないこともあるっつったろ?」
「だって…!絶対、分かってる…癖に!」
「言わなきゃ分かんねーよ、せんせ?」

脳髄まで響き渡る低くて官能的な声と、可笑しい位に感じてしまう前立腺を指で挟まれて一瞬にして頭が真っ白になった。
しかしイク、と思って太股に力を入れてみたはいいが、待ち構えていた射精後の心地いい脱力感は一向にやって来ない。俺は未だに身体中を渦巻く熱に呆然と己の下半身を見やった。

「ゃ、なんで?」
「欲しいものを欲しいって言えない先生にはお仕置きです」

ニヤリと笑って根本を戒める指に力を入れられて俺は僅かな痛みに眉を顰める。
調子に乗んじゃねぇぞクソガキ。

「ふざけんな」

俺は最後の力を振り絞り坂田に蹴りを入れた。

「へ?」

俺の変貌ぶりに坂田は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして無様に床に転がる。尻餅を付いて呆然とする坂田に乗り上げた俺は床から学校指定のネクタイを拾うと坂田の手首を縛り上げた。

「え?ちょ、何してんの先生。まさか今更俺に突っ込みたいとか言わないよね?無理だから、銀さんバージンだから絶対無理だから!」
「…クク…ばーか。誰がテメェみたいのに突っ込みてぇもんかよ」
「じゃあ、なんで?」
「生意気なクソガキにはお仕置きが必要だろ?」

俺なりに精一杯の色気を出しながら目を細め坂田の首筋を撫でる。
瞬間、ゴクリと鳴った坂田の喉に俺は満足して乾いた唇を舐めた。

「…はっ…もうガチガチじゃねぇか」
「うん、せんせーがエロいから」
「俺に、突っ込みてぇか?」

坂田に見せつけるように足を開き腰を浮かせる。ドロドロになった後孔や一物が全て坂田の目の前に晒され、先走りが竿を伝っていく感覚さえもリアルに感じる程だ。
俺はかつてない程に興奮していた。

「ンッ、ふ…なあ、言わねぇと分かんねぇよ。どうしたい?」
「…っ、ちくしょー」

とろけた後孔に坂田自身の一物を擦り付ける。
悔しそうに唇を噛む坂田に俺は優越感を感じて後孔をヒクリと収縮させた。まだ内部に入っていないのに坂田の一物が身体に触れていると云う事実だけで、限界を迎えている俺は達してしまいそうだった。

「ほら、言ってみろよ」
「せんせー、の…」
「あ?聞こえねーなぁ」
「鬼畜教師!」
「どっちが鬼畜だ!」
「…ッ、せんせーのドロドロでぐちょぐちょで淫乱な穴に挿れさせて下さい!」
「誰が淫乱……っあああぁぁああ!?」

誰が淫乱だと反論しようとした俺は、坂田が急に腰を突き挿れたことによってズルリと滑り込んできた一物に言葉を失ってはくはくと口の閉開を繰り返す。
呼吸を奪われたような圧迫感と、先程散々弄られて肥大した前立腺を堅い先端で擦られる壮絶な快感とで、坂田の腹に手を着いてガクガクと震えるしかない。

「あれー?先生大丈夫ですかー?」

態とらしく語尾を延ばしてムカつく位爽やかな笑顔で顔を覗きこまれ、俺は涙目でキッと睨み返した。

「ぁ…あ…は、テメェ…」
「てか先生挿れられただけでイクとか、やっぱり淫乱じゃん」
「…っ、ふぇ…淫乱、なんかじゃね」

確かに俺は快感を得る為に好きでもない女を抱いてきた。だけど決して早漏では無かったし、正直こんな快感生まれて初めてで自分でもよく分からないのが本音だ。勿論後孔に誰かを受け入れるのは坂田が初めてで、訳が分からなくなった俺は坂田の一物を受け入れたままヒクヒクと子供みたいにしゃくりあげた。

「ここで泣くのは狡いんじゃねぇの…?」
「…ちが、大丈夫だから」
「そうじゃなくて、俺が早漏になっちゃうじゃん」
「へ?」
「俺、せんせーの泣き顔ヤバい位大好き、股間にずきゅんってクる。でも折角の初めてなんだし一緒に気持ちよくなりてーじゃん?」

だからこれ解いて、と眉を下げた犬っころの様な顔で両手を差し出す坂田に俺は無言で頷くと手首に巻き付いたネクタイを解く。
途端に背中に回る腕に、俺はやっぱり涙が溢れてくるのを感じた。

「ぅっ…く…ふ」
「よーしよし、怖くないよ」
「…ひく、ちげーよ…ばか、嬉しいんだよ」
「…だァァア!そういう可愛いこと言うからまたおっきくなっちゃうじゃん!」
「ンッ、ほんとだ…」
「あー…もう、本当に無理…即効でイッちゃうだろうけど笑うなよ?」
「…ふふ…笑わねぇよ」
ぐっと起き上がった坂田は俺を優しく押し倒し唇を塞いだ。
「ンッ」

奥まで突き上げられても散々慣らしたお陰か痛みは余り感じない。寧ろ今は上手く息が出来ないことも手伝って、快感だけをよりリアルに感じる。

「っふ、ううぅぅ…!」
「ん、もう…イクよ」
「…ぷはっ…はぁ、は…中に、欲しい!」
「…ッ、それ反則…!」
「や、あつ!…ふあぁぁぁああ!」

坂田が息を詰めた次の瞬間、内壁に熱い飛沫を感じ、同時に俺も達していた。


***


いつの間に気を失っていたのか、目を覚ますとドロドロな身体は綺麗に清められて、辛うじてワイシャツを着せられている状態だった。
ダルい身体はそこら中ピキピキと鈍い痛みを訴えている。

「ん…」
「あ、起きた?」
「さかた?」
「ん?」

目を開けると眼前に広がるのは坂田の笑顔で、俺はあの行為が夢でも幻でも、勿論妄想でもないことを知り安堵した。
頭の下に感じる若干固い感触に苦笑して、手を伸ばせば坂田はその手をきゅっと握り返してくれる。

「今、何時だ?」
「もう八時だよ。先生一時間位寝てたから」
「八時!?消灯は…」
「あ、それなら俺が職員室に行って頼んどいたから大丈夫」
「頼んだって何を?」
「土方先生が具合悪いみたいなんで寝かせてあげて下さいって。運良く今日は体育の近藤が鍵持ってたから」

その言葉に俺は嬉しいやら恥ずかしいやらで微妙な表情を作ってしまう。
明日近藤に何を言われるかと考えただけで顔に熱が集まるのを感じた。

「てか先生歩ける?」
「何とかな」
「じゃあさ、今日俺ん家来ねぇ…?」
「はぁ?」
「いや、ほら俺ん家親居ねーし?べ、別に下心とかねぇからな!」
「…ックク…若けーなァ?」
「うーわー…やっぱり馬鹿にされたよ」

ショボンとうなだれながらも俺の髪を梳く手は止まらない。その心地良さに再び閉じそうになる瞼をこじ開けて身体を起こした。

「せんせ?」
「ボケッとしてんな。お前ん家行くんだろ?」
「え?いいの!?」
「ああ、だから早く準備しろ」

キラキラと輝く瞳に苦笑して頭を撫でてやれば子供扱いすんな、と拗ねられた。
子供なんだから仕方ないだろう。まあそんな子供相手にこんな感情抱いてる俺も俺だが。

「なあ先生」
「今度は何だよ?」
「俺まだ先生に聞いてない言葉があるんだけど?」
「…あー、知らねーな」
「ちょ、それ狡くね?」
「ほら行くぞ」
「シカトですかコノヤロー…」

大人なんて、とブツブツ言っている坂田を横目に数学科準備室を後にする。
夜の校舎はどことなく気味が悪くて、俺たちは二人ともあまりそう言った類のモノが得意では無い為、足早に校舎を抜け出した。

「坂田、お前ん家って…」
「……」
「まだ拗ねてんのか?」
「別にー?」
「ガキ」
「うるせー…」

尖った唇に堪えきれず笑みを零しながら階段を降りる。
並木道を抜けて校門を出ると俺は俯いて前を歩く坂田の腕を掴んだ。

「好きだよ」

耳元で告げた聞こえるか聞こえないか位の小さな声でもやっぱり恥ずかしくて、俺は足早に坂田の横を通り過ぎる。

「…坂田?」

羞恥で知らず知らずの内に早歩きになっていた俺はなかなか聞こえないもう一つの足早の主を振り返った。

「お前、顔真っ赤…」
「ああもう!うるせー!」
「いや、五月蝿くしてねぇだろ…」
「本当に大人って狡いよな!」

聞こえるか聞こえないか位の小さな声だって、真っ白な肌が面白い位に真っ赤に染まった顔を見れるのであれば、それでいいのかも知れない。


言葉にしなければ伝わらないことは確かにあるのだから。
                              


end





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