陰気臭い。初めて来たゴッドエデンへの印象はそれだけだった。島全体の雰囲気は不気味だし、この趣味の悪そうな建物が更に陰気臭ささをプラスさせている。今日からここで過ごすのかと思うと、尊敬している聖帝ですら恨みたくなる。
私は聖帝から直接受けた任務でこのゴッドエデンに来た。任務は、本部に報告もなく少年たちに苛酷な特訓させている実情を報告すること。聖帝であってもこんな離れ小島にある施設まで手が回らないらしく、信頼のできる私を送り込んだのだ。

「お前が伊織純か」

島に来て通された部屋で待っていると1人の少年が入ってきた。白髪で長い髪を1つに結い白いユニホーム姿。上から目線は腹がたつけどそれさえも認めさせるように私を見つめる強い眼光。少しドキリとした。

「そうだけど、君は?」
「俺の名は白竜。牙山教官にお前の世話を頼まれた」
「…世話?」

露骨に眉を潜めて聞けば「と言っても案内役だ」と説明を付け足された。案内役か、監視役の間違いじゃないだろうか。

「聖帝の推薦でここに来たらしいが、ゴッドエデンは女が来るようなところではない。ここでは誰も助けてはくれないぞ」
「心配どうも、私は聖帝に信頼されてここに来ているんだ。あの人からの期待を裏切るようなことはしない」

キッパリと言えば白竜は不適に笑い、上等だと一言吐いた。
彼が着いてこいと言うので部屋を出て彼の後ろについていく。部屋に来た時とは反対方向の廊下を歩く。壁は暗い色だし照明も最低限の明るさ。いかにも変な施設、といった雰囲気。

「ここがお前の部屋だ」

多く並ぶ部屋の1つの前に立ち、扉の差し込み口にカードキーを入れると扉が開いた。部屋を覗けば、案外普通。ベッドと机、あとバスルームみたいな部屋が設置されている。

「普通新入りはバスルームなどない共同部屋だが、他の選手に悪影響があったら困るからな。1人部屋を用意させてもらった」

いちいち上から目線だな。
確かに多感なこの時期に女である私と共同部屋なんて、他の選手たちがかわいそうだ。私にそういった魅力があるかは別としての話だけれど。

「因みに俺の部屋は右隣だ。何かあればインターホンを鳴らせ」
「わかった」
「俺は外で待っている、着替え終わったら出てこい。練習着がクローゼットに入っているはずだ」

扉を開いたカードを渡し、それだけ言って部屋を出る白竜。持ってきた重たいボストンバッグを床に置いて、クローゼットを開く。…またこれか、とげんなりした顔でいかにも動きづらそうな練習着を見つめる。

「…いっちょ頑張りますか」

着ていた服を脱ぎ捨て、練習着に袖を通しそう呟いた。

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