資料室の自動ドアを開けば薄暗い部屋の中央に1人。私のリーダーのガンマさんだ。彼は何やら手元のホログラムのモニターを集中した様子で眺めていた。余程熱心なのか、部屋のドアが開いたことにも私が部屋に入ってきたことにも、気が付いていない様子だ。
「リーダー」
少しだけ近寄ってから小さく呟くように出した声は無音の部屋にはよく響いた。やっとリーダーは私の存在に気が付き、私に微笑んで「何か用かい」と優しい声をかけてくれた。
「少しだけ、報告がありまして」 「わざわざご苦労様。こっちへおいで、#名前#」
手元のホログラムを消して、私に向かって両手を広げるリーダー。数歩近づいたところでリーダーは私の手を引いて、私を抱き止めた。ガタンと結構な音をたてて持っていた端末が床に落ちる。あ、やばい。なんて思いながらも私の身体はリーダーの腕の中。端末の心配なんてすぐどうでも良くなった。
「り、リーダー」 「ん?どうかしたのかい」 「いえ、何でも…ない、です」
俯いてそう答える私に何を満足したのか、喉を鳴らすリーダー。私の背中に回るリーダーの手、髪かかる吐息の感触にぞわりとする。決して嫌ではない、感覚だ。
「報告、よろしいでしょうか」 「ああ」 「あの、離してくださらないと報告が出来ません。モニターの資料もお見せしたいので」 「そうかい?」
ゆっくりと離される腕に内心ホッとする。密着した状態でも報告出来なくはないけど、心臓に悪いしうまく話せる気がしない。さっき手を引かれた衝撃で落ちた端末を拾い上げてから確認をする。傷も中身も問題はなさいそうだ。
「ではリーダー、報告ですけ、ど」
顔を上げれば、そこにはリーダーの淡麗な顔が近くに。思いがけないその行動にビクリと身体を揺らす。そしてすぐ唇に柔らかい感覚と小さなリップ音。キス、をされた。再び手から端末を離してしまいそうになるが、リーダーはそれに気がついてキャッチしてくれた。また落としたら今度こそ壊れてしまいそうだったし、良かった。
「あ、ああ、あのリーダー」 「なに?」
ふっ、と柔らかく微笑むリーダー。私はその笑顔にズキュンと悩殺されてノックアウト。限界だ。くらりと目眩がして倒れそうになり、またリーダーの胸の中へ飛び込んでしまうのだった。
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