そして私は、その日から自分を責め続けた。ギンちゃんを殺したのは、私だと。私が死ねば、ギンちゃんは死なずに済んだのに。 ポタリ、雨が私の頬を伝った。 「隠しててごめんなさい、でも私、ギンちゃんに嫌われたくなかったんです、…っだけど、そんな気持ちだと私、ギンちゃんを好きってこと、伝えられなくて、だから、それはやっぱり違うって思ったんです。ごめんなさい、ギンちゃん」 ギンちゃんの胸に顔を埋め、涙を流す顔を必死に隠した。今、強く突き放されてもこれ以上泣かないでおこう。最悪だと。もう二度と会いたくないと、そう言われても静かに頷こう。 だから、今だけ。もう二度とギンちゃんの温かさを、彼と過ごした過去を忘れないように、私は強くギンちゃんを抱き締めた。 「柚子、ごめんな、」 「っ、ぎ、」 「ありがとう、ボクも全部、思い出したわ」 「…ギン、ちゃん?」 「今まで、苦しかったやろ。違う、違うんや。あれは“死なんでよかった”って、伝えたかったんよ。苦しめて、ごめんな、ずっと気付いてやれんで、ごめん」 ゆっくり顔をあげるとギンちゃんの瞳からポロポロと涙が流れて私の頬に落ち、私はその言葉とギンちゃんの涙に驚いてしばらく動けなかった。 そうだ、随分前に、雨は、止んでいたんだ。ただ、忘れていただけ。ギンちゃんはそう言った後、優しく私を抱き締めた。 ありがとうとごめんねの間 ギンちゃんは「ボクも柚子が好きや」と頬を赤く染め、笑いながら言い、私の頬に短くキスをした。赤く熱く染まる頬の温度とギンちゃんの鼓動の音が心地よい。 ずっと、ずっとこの日を忘れない。 101230 |