「ギンちゃん、ごめんなさいっ、」


ボクの胸の中でひたすら謝り続ける柚子。何で。違う、違う。謝るのはボクの方なのに。なのにボクは、柚子を抱き締めることで精一杯だった。



「ギンちゃんのこと、忘れてごめんなさい、っ、」
「柚子…あのな、」
「罰が当たったんです、あのこと秘密にして、ギンちゃんに近付いたりしたから…」
「…あのこと…?」



それから少し経って顔を上げた柚子の目は真っ赤で、だけどボクの目をしっかり見据えていた。ボクに向けられるには綺麗すぎる瞳。涙のせいでゆらゆらと揺らぐ。


「もし言ったら、ギンちゃん私のこと嫌いになるかもしれません、」
「…そんな、」
「だけど、隠してまでギンちゃんに近付こうと思ったこと、何度も後悔しました…」
「…ボクは柚子を嫌いになったりせんよ。絶対や、絶対」


そこでようやく柚子の丸い瞳が少し歪んだ。私、…と俯き、何度か小さく息を呑んだ後に顔を上げた。


「私が、ギンちゃんを殺したの」
「え…?…っ、」


ズキン、と頭が激しく痛み始めてボクは頭を押さえた。白い霧がかかったようなはっきりとしない記憶が思い出されていく。柚子は何度も泣き出しそうになりながら、ボクとの過去を語り始めた。



雨は、まだ止まない




君の空になりたい



何故気付いてあげられなかったんだろう。何故聞いてあげられなかったんだろう。そんな理由は簡単だ。ボクも柚子を傷付けるのが怖くて、逃げていたから。だから柚子が全部話し終わったら、ボクも正直に話そうと思う。今思っていること全てを。



101220
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