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朝の光が、緑の丘に差し込んでいる。真っ白な花の咲き乱れる野原に、子供たちが遊んでいた。
子供たちの後ろでは、教会の十字が朝日に照らされて金に煌く。かたんと小さな音を立て、銀髪を白い花飾りで結い上げる少女が映る、古びた写真立てを褐色の指が直した。
写真立ての裏には、小さく名前が彫ってある。それを愛しげになぞっていると、彼の服をくいっと引く少女がいた。
「おにいちゃーん!」
「ん、どうした?」
駆け寄ってきた子供を彼は抱き留める。視線の先には、茶色の短い髪を揺らして笑いながら子供の馬になっている青年と、女の子の髪を結う優しげな青の髪の女性が映った。外ではかこんかこんと薪の割られる音がする。そちらを覗けば、汗をぬぐいながらシスターと一緒に働く翠色の髪が見えた。
「みんなお話してくれないの! おにいちゃん、お話してよぉ」
褐色の肌の青年がにこりと笑う。花畑に座ると、銀髪の少女を膝に乗せ、そっとその髪を撫でた。
「今日はどんなお話がいい?」
「うーん、なんでもいいよ!」
「じゃあ、」
赤髪がさわやかな風に揺れる。
彼は白花を一つ摘むと、少女の髪にすっと差した。
「100年前の戦争を、一人の女の子が治めた話をしようか。その子の名前はイリス・ルイ。この教会を作った、可愛くて優しい、お兄ちゃんの一番大切な女の子だよ――」




Memory of Mythology End
【I'll certainly find you in the world beyond】






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