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白が晴れて、視界が開ける。
私たちのいたはずの城は、もう屋根すら吹き飛ばされ、それそのものとしての原形を最早とどめていなかった。積み上げられた瓦礫の山の中に、私は彼を見つけた。
「――兄様ッ!!」
瓦礫に横たわる兄様へ、私は駆け寄った。体を起こし、頬に付いた血をぬぐう。
「いり、す――」
「兄様、っう、にいさま、」
「ぼくは、まちがえて……いたのかも、しれな、い」
「っ、」
「だけ、ど――確かに、おもったんだ、世界を……こわさなくては、と――」
「も、喋っちゃダメ、すぐ手当を――」
「いい、んだよ」
兄様は微笑んだ。
震える手が、私の涙を、そっと拭う。
「イリス、君は、本当に泣き虫だねぇ、」
「もう、泣かないわ、私……っ」
「そう、だな。良い子だね、イリス――」
ぱたり。
兄様の手が、落ちた。
優しい笑顔。私の好きな、兄様が、そこにはいた。
兄様の体は、光に包まれ、そして――はじけて、消えてしまった。
きっとアスカが連れて行ってくれたのだ。
私は涙をこらえながら、いつも兄様の胸にかけられていた十字を拾って、首にかけた。
「兄様、私、っ。忘れないから――」




Last Episode9 
【You were always there】






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