僕+君=××? | ナノ

偶然か、必然か


ホンモノ、だ。さっきまでと違いすぎるだろと、否定する自分も心の中でいるくせに、今度は確信した。文章がそのままさっきあったあの黒髪のお兄さんの声で、そして生放送の善哉Pの声で再生される。背筋がぞくぞくと震えるのを止められない。

次は慎重に、言葉を選びながら、文面を組み立てる。
メールの最後にはTwitterとSkypeのID付きの書名を挿入して、送信。
篠姉の持ってきてくれたお茶を一口飲んで、別窓で適当にランキングを漁ったりまとめサイトを眺めたりしていた。ふと目をやるとメールの窓は新着メールを知らせていた。

宛先は善哉Pから。またも、即レスだった。
内容はさっきよりも短くて「今日の夜に通話せえへんか」というようなものだった。勿論ですと返信しようとして手を止めた。どうしよう…マイクは持って来てないし、あっても流石にリビングにあるパソコンではできない。

あ、I phoneか。普段最低限のメールと電話と実用的なアプリなどしか使わず、大体のことをノートパソコンで済ませてしまうのだが、アイフォンには一応スカイプはダウンロードされているし幸いマイクも搭載されているので通話ぐらいなら問題ないだろう。

了解しました、時間はいつぐらいにしますか?
こちらは九時以降なら大丈夫だと思います。

メールを返信すると、案の定すぐに、ほなに〇九三〇にしよか、コンタクト追加しといてなというメッセージ。早速起動してアプリを立ち上げログイン、そんなに難しい画面でもなかったので始めてでも案外簡単にコンタクトの追加までこじつけることができた。

「和奏って東京なん?」

テレビに視線を向けたまま、話しかけてきた。頬杖を吐いて寝転がっていて頬には銀色の髪が流れ落ちている。

「そうだよ、マサハルくんは神奈川ってさっき篠姉が言ってたね」どことも知れぬ方言…土佐とか広島の交じったようなそれはとても神奈川の生まれとは思えないのだが。

「マサハルくんはいつ此処を出る予定?」
「明日の昼食ってからかの。それで券取った」

鞄から取り出した財布からそれを取り出してひらひらと振った。和奏は?と続ける。

「電車の時間は同じくらいかなー、でも朝ごはん食べたら此処を出て大阪の街とか見て歩こうかと思ってる。」
大阪来るの初めてだしね、というとじゃー俺もそうする。とまたテレビに視線を戻した。

「……え?」
「なに、あかんの」

「ううん…なら、一緒に行こうか」
おお、と曖昧な返事をする彼に少し頭を悩ませた。付き合わせてしまったようでどこか申し訳ない。初めて訪れた大阪の町を一人で散策するというのも心細かったし、また迷わない保証も無いので心強い、けど。

……話、保つかなあ。