僕+君=××? | ナノ

改めて考えると


ほぼ日課のようにパソコンを起動して、メールを開く。3件の新着があります、か。一つはネット上の知り合い、もう一つは何か怪しそうな件名の多分迷惑メール、もう一つは…見覚えの無いメールアドレスに、添付ファイルも無いのに容量の大きいメール。前のもやけどこっちも怪しすぎるやろ。

件名 : 先ほどはありがとうございました!

…ん?先ほど?

頭の中で今までの出来事を反芻させ、そういえば自分を善哉やと見抜いた人がおったんやっけ、んでメアド渡した…そうや、やっと思いだした。にしても綺麗な声やったし、(ダメ、絶対)音感持っとるくらいやで耳ええやろうし、歌い手やったら絶対人気出るやろうなあ。

そんなことを呆然と考えつつメールを開くと、字がこれでもかとばかりに詰め込まれたそれが浮かんで反射的にAlt+F4、削除を押した。一旦落ち着くために、深呼吸。
もう一度同じメールを開く。今度はマウスに手を伸ばす。

「………ハァ?」

どうやら、結構な善哉P信者らしい、けど。
どうやら、俺のことを善哉P信者だと思い込んどる、らしい。


さっきのことをもう少し思い出して、ああ、とどこか納得してしまった。というかむしろ今よりさっきの方がおかしい。
彼女は多分自分が本当に善哉だとは思っていない訳だ。さっきは多分、本当に思っていたのだろうけど。そりゃ、即答してしまった俺も怪しい。んで、善哉を名乗るくらいやから信者なんやろう、と。…筋が通っているような通っていないような。何にせよ少し短絡すぎやろ。

このメールはこのまま無視してもいい、はずだ。
でも、俺を声で善哉やと見抜いた。何よりあの声、モロ好みやったりするんやおなあ。しゃあないわ。
できるだけ簡単に、どうしたら信じてもらえるかを考えて、思いついた策をそのまま打ち込んだ。

件名 : まあ、分からんでもないけど
本文 : 

何を勘違いしとるか知らんけど、俺はホンマに善哉やで。
ああ、関西弁で読み難かったら堪忍な。

いきなりそう言われてもアンタも信じられんやろうけど、まあ本物なんやで信じてくれとしか言われへんわ。
んで、どうしたら信じてもらえるか考えてんけど、近いうちに生放送やろうと思っててん。せやから、その日時をメールで送ったるわ。それでもまあ、俺が善哉の知り合いやったらそのくらい聞けるかも、って思うんやったらそれでも構へんけどな。

まあ、またメール送らせてもらうとするわ。