僕+君=××? | ナノ

不思議な温かみ


「お邪魔します」
インターホンを鳴らして返事を待たずに扉を開くと、見慣れない銀髪の綺麗な男の人が立っていた。大阪のこの家に来るのは久し振りだが、こんな親戚がいるのは見たことが無い。

「お、和奏やん」

ドアを開けてそこから見えたのは、ここに住んでいる従姉弟でひとつ年上の篠姉だった。

「久し振り、篠姉!」靴を脱いで駆け寄り、うちでは少し浮いてしまいそうなぐらいイケメンな彼について耳打ちして尋ねると、笑って答えられた。

「ああ、もしかしてコイツと会うの初めて?」
うんうんと深く頷くとその男の子の髪をわしわしと撫でた。
「仁王雅治って言うの。親戚って言ってもかなり遠いし、血は繋がってないんだけどね、ちょっと縁があってこっち寄ったらしくて」

「よろしく、和奏?じゃったかの」
「あ、うん。よろしく…マサハル、くん?」

何で疑問系なんじゃ、と言われたがそれって若干お互い様だ。初対面で名前呼びをするのも気が引けたけど、遠いとはいえ親戚なのに苗字呼びなのも何処か不自然な気がした。方言…には突っ込まない方がいいんだろうか。

「神奈川住みだから和奏とは近いんだけどね、一応年も一緒だし」
「ゑ!?同い年、嘘だよね?」普通に大学生に見えるよだって。
「一応とは何ぜよ篠姉。これでも高二なの」

銀髪は染めているんだろうか…正直、白髪にも見えなくは無いが地毛ってことは無さそう。かといってツンケンしてるかと言えばそういう訳でもなく。あまり掴みどころはないが、不思議と好感の持てる人だった。

「まあこんなとこで立ち話も何だし、中入る?」

遠くて来るのを躊躇っていた実家が、どうにも懐かしく思えて頬が緩むのを抑えられなかった。