きらきら星のメロディが、お湯が沸くのを待ちながら二度寝に入りそうになった私の目を覚まさせた。

夜とは違って今度はきちんと栄養のバランスを考えて手作りした味噌汁と、きのこや鶏肉の炊き込みご飯を朝食べる分と、お昼のお弁当用に分けてよそう。おかずも朝まとめて作るから、弁当は昨日の残りか朝の残りになることが多い…というかほとんどである。どうにかしなきゃ、とは思うものの征くんがそれでいい、と言って聞かないので、私もその方が楽だし、と甘えてしまっている訳だが。

部活がハードだから持っていくお弁当以外に大抵パンやら何やらを買っているらしいし、お腹が空かないならいいけど。それに、もともと征くんそんなに食べる方ではない。

「天気予報見てー!今日傘要りそう?」
「…折り畳みぐらいだろうな」
朝から新聞、テレビの両方を駆使してニュースや天気予報を捲っていた。高1男子の朝の過ごし方ではないよなあと思いつつも、その恩恵に肖っているのは何を隠そう私なので文句は言えまいし言うまい。


「そういえば…今日遅くなると思うから」
「分かった、夜は家で食べる?」
「ああ。先に食べていてくれて構わない」

メールでもいいのに、と思うのだが律儀にこうやって毎朝帰りを教えてくれるのは有難い。すぐ不安に駆られる私の性格を理解したうえでの行動だと分かっているから、少し申し訳ないのだけど。かといってメールでいいよと口に出せない私は臆病者だ。

遅くなるってことは部活かな。一年にして部長というのも最初は驚いたが全て征くんだからという理由でそれらの瑣末なことは片付くのである。我が双子ながら末恐ろしいと思う。
上手くやれているならいいけど…なんて思うのは勉強なんかではなく人間関係についてが大部分を占めるのだが私がそれについて頭を悩ませるのはいかがなものだろうか。心配、なんて似合わない。人間関係で困って欲しくはないけどそのくせ学校で楽しくやっている、とは聞きたくない私は加えて嫉妬深いらしい。

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