今日も部活に打ち込み日誌の当番が俺だったため面倒ながら鞄の中に手を突っ込んでみる、も。見当たらない。
「あー、筆箱机ん中やわ…」
先輩ら先帰っとって下さい、というとおんまた明日なーと笑顔で返してくれる
仕方なく引き出しからいつからあるのか分からないシャーペンを取り出して日誌を書き始める。過去の日誌を捲って今までの部活の事を振り返ってみると、つくづく俺は恵まれた環境におるんやないやろうかとテニス部におると感じさせられる
めんどくて普段ならイライラしているだろう事の間にそんなことを考えるんも、好きな曲を口ずさみながら教室に向かうんも、隣の席のアイツのおかげかもしれんなんて。
メールしたり、ノートの隅っこで雑談したり些細な事が嬉しくてアイツの全てに一喜一憂させられる
「俺のキャラやあらへんわー。」
教室に向かうとなんか黒いかたまりがおる。あ、机に伏せってる…あの辺って俺の席やあらへんか。・・・近づいてみると案の定俺の席でかたまりは遠峰やった
「・・・人の机で何しとるん」
反応はない。どうやら寝とるらしい・・・
ゆさゆさ、ゆさゆさ、おーい。
遠峰の ねむりは ふかい ようだ 。
とりあえず机の上にあった筆箱を鞄にしまい、このまま自分だけ帰る訳にもいかずもう一度遠峰に声を掛けてみる
「遠峰、遠峰ーもう帰るでー」
「んー・・・んぅ。・・・んんーっ・・・
・・・・・・ふぁ、え、財前君?何でいるの」
「いやむしろそれはこっちのセリフやけど・・・まあええ、もう部活終わったで帰るで。」
「え、いや、今から部活──もう5:30!?」
「おん、結構寝とったみたいやなあ。」
「・・・・・・寝過ごしちゃった」
まあいっかぁ・・・と席から立ってくあ、と欠伸をしてんーっと背伸びをしても俺の身長には到底届かない小っこさがなんか面白い。上から押さえつけたりたくなるな、いややめとくか。
「何はともあれ、起こしてくれてありがと財前君」
「寝たままやったらどうなっとるか分からんしな」
「それじゃ、また明日」
「遠峰方向一緒やろ?送ってくわ」
え、嘘財前君家どの辺?と聞かれて答えればお言葉に甘えて、と俺が教室の出口まで行くのを待ってふたりで誰もいない校舎を歩く。放課後の誰もいない校舎の中を、恋人でもない遠峰と歩いているというのはよく分からない不思議な感覚だった。
そのまま他愛もない会話をしながら、部活の先輩らとバカやりながら帰るんとはまた違う少し変わってみえた帰り道やったかもしれん。
放課後の教室で想い人が
自分の席で寝ているところを目撃してしまった(てか何で俺の席で寝とったんか結局聞きそびれたわ・・・)