静雄誕生日 | ナノ

静誕に間に合わず、飽きたもの
途中でぶっつんしてる






1月27日の夜中
テレビみて、そろそろ寝ようと思っていた矢先にインターホンがなった

「あは、相変わらず狭い部屋だね」

訝しんで扉を開けると、ノミ虫野郎がいやがった
臨也は扉を開けた俺をスルーして玄関に上がり込む

「シズちゃん眠そうだね、そろそろおねむの時間だったかな?」
「うるせぇ、ただうっぜぇノミ虫が来やがったから、睡眠に逃げたかっただけだ」

やだなぁ、俺を前に寝たら犯すからね
と物騒なことを言う臨也
死んでしまったらいいのに

「俺さ、シズちゃんのこと大嫌いだけど大好きだよ」

玄関から移動することもなく、ただ突っ立ていた臨也が唐突にそんなことを言い出してきた
俺は訳も分からず、何の返答もしないで居たら、臨也は続けた

「シズちゃんが生まれてこなければ、俺は人間すべてを愛せたんだ、でもシズちゃんがいるからそれは叶わなかったよ」
「はん、ざまあみろだな」

俯いて静かに言葉を紡ぐ臨也は、なんだかいつもの臨也じゃないみたいで調子が狂う
まるで言葉を選んでいるみたいで、俺まで少し緊張する

「でもねシズちゃん、君がいたから俺は人間の中で異例を見つけられた」
「…」
「俺の特別ができたってこと…」

そう言うと臨也は力なく下ろしていた俺の左手を両手で包み込んだ
外を歩いてきたのか、臨也の手は冷たくて背中がぞわりとした

「シズちゃん…俺の言ってる意味わかる?」
「もっとわかりやすく言え」

わかってはいた、理解していたが、そんな遠回しじゃなくて、もっと直接響くような言葉が欲しかった
臨也は口元をふっと優しく緩めて、握っていた俺の手に口を当てる
ちゅっと軽い音がして、俺の手から臨也の唇が離れた
その音が恥ずかしくて恥ずかしくて、顔が熱くなるのが分かる

「大好きだよ、そして生まれてきてくれてありがとう」

今度は臨也の顔が俺の顔に近づいてくる
そのまま臨也からのキスを受けると、唇をわって舌が入り込んできた
くちゅと音が聞こえてまた恥ずかしさに涙かにじんでくる

「お誕生日おめでとう、シズちゃん」

時計をみると12時は既に過ぎていて、28日になっていた
俺の誕生日だ

「今日一番最初におめでとうって言いたかったんだ」
「…素直に最初からいいやがれ」
「ふふ、素直じゃないのはシズちゃんの方じゃない」





20110201


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