snowdome | ナノ





キラキラと光を受けて反射する
キラキラキラキラ
ガラスの中に閉じこめられた街に雪がふる
子供の頃はこんなもののどこが面白いのかと、まじまじと見ることはなかった
今になってもまだ面白さは見いだせないが、ただただ綺麗ということは解る

「スノードーム、それどうしたの?」

いつの間にか後ろにいたのか、臨也は静雄を後ろからソファーの背もたれを挟んで抱きしめる
先ほど目を向けたときはまだデスクで誰かと電話していたが、どうも気配を消すのがうまいらしい、それか静雄が気を張っていないからか、臨也が近づいてくるのも気が付かない

「幽が…クリスマスプレゼントって」
「ずいぶん乙女趣味な弟だよねぇ」

それとも兄が乙女なのかな
と揶揄するように臨也は静雄の首筋に手をはわす
ひえきって冷たい手に静雄は息を詰める

「…っ、臨也…手」
「手がどうかした?」
「っあ」

静雄が諭しても臨也はやめる気がないらしい
耐えかねて首に這う手を右手で掴むと、より臨也の冷たさが伝わる
そのままつかんだ手を引っ張り臨也に隣に座るようにとソファーを開ける
臨也はそれにさからうことなく素直に静雄の隣に収まると、テーブルに置いてあるスノードームに手を伸ばす
中の雪は落ちきっていたらしく臨也が持ち上げたことによりふわりと雪が持ち上がる

「これは可愛いね、弟くんもセンスいいよ」
「あぁ」

弟を褒められて悪い気はしない、静雄は素直に頷く
臨也はそんな様子にブラコンと呟くと、言葉を続けた

「でもこれは窮屈だ」
「…?」
「ガラスの中に閉じこめられて、ずっと雪が降ってる」
「…」
「外の世界なんてみれないし、永遠に寒い雪のなかだよ?」
「…ぷはっ」

あはははっ
思わず笑いが漏れる
真意になって臨也は話しているのに、内容はあまりに幼い
まさか自分がスノードームに入った前提で話すんだから、おもしろくて仕方がない
臨也でもそういう可愛いところがあるんだと、すこし安心する
しかし臨也は不服なようで顔をしかめている

「なんで笑うの、人が真剣に話してるのに」
「だってお前スノードームに入るって…っふ」
「幻想的でしょ?」
「お前には似合わねぇよ」

真っ黒なファーコートならお似合いかもな、とからかう
すると臨也はしかめっ面になり、拗ねるようにそっぽを向いた

「べつに、俺が入る訳じゃないから」
「じゃ、誰だよ」
「シズちゃんだよ」
「は?」
「シズちゃんをスノードームに入れるの」

雪しか降らないガラスの中にシズちゃんを閉じ込めて、俺だけのものにする
静雄は言葉が出なかった
振り向いて静雄を見つめる紅い瞳は嘘をついていないように見えて、本当に閉じこめられてしまうかもしれない

「閉じ込めて欲しい?」
「…まさか」

だって静雄は既に真っ赤な瞳に閉じこめられて出られないんだから




snowdome










今年初の小説です
正月らしさがこれっぽちもない、なんとも支離滅裂になってしましました
スノードームと手が冷たい臨也を書きたくて、書いたらこうなりました
どうしてこうなる



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