ドキドキ☆バスタイム


「ねえ、トキヤ」


「なんですか」


学校の課題に取り掛かっていたら、音也が甘えた声で近付いてきた。私は危険な空気を察して、一歩距離を置きながら、音也に答える。

「ちょっとお願いがあって……」


ずいっと距離を縮められ、腕をぎゅっと握られる。
音也がこうした態度のときは、ロクなことがない。


宿題を教えてとか、サッカーやろうとか、そんなのは可愛いものだ。


この前は仮装パーティだとか言って、女性ものの服を着せられた。深夜にAクラスの面々に寝起きドッキリを仕掛けられたこともある。


音也はトラブルメーカーであり、みんなに愛されるクラスの中心人物だ。


そして、私の恋人でもある。


どんな無理難題であっても、彼の笑顔のためなら何でもやってあげたい。

そんな魅力が、音也にはある。


「一緒にお風呂、入ろ?」

「は?」


本当に、彼には敵わない。



【ドキドキ☆バスタイム】


どうしてこんな状況になっているんでしょうか。

今私は音也の柔らかな髪にシャンプーを施している。


「トキヤありがとう〜。助かる!」


音也の能天気な声が浴室内に響く。
シャンプーを洗い流すと、音也はふるふると顔を振り水滴を弾いた。


「どういたしまして。腕は大丈夫ですか?」


音也の誘いは恋人として魅力的だった。しかし、当然の如く甘い期待は裏切られた。



「うん、まだ上げられないけど、動かさなかったら平気だよ」


「無茶なことはしないでくださいね。生傷もまた増えてるし…」


話を聞いたところによると、サッカーで必殺技を繰り出した際に、上半身から地面に突っ込んでしまい、打ち身で腕が痛くて上がらなくなってしまったという。


「あなたは危なっかしくて、目が離せない」


後ろから抱き締めると、音也は口を尖らせこちらを振り向く。


「俺男だし、平気だよ。それにトキヤ忙しいし、目を離さないとか無理でしょ」


「いや、あくまで喩えですから……」

音也の情緒のなさに脱力しながら、その唇にちゅっと優しくキスをした。


「トキヤ!……っいて!」


音也は嬉しそうに私に抱き付こうとして、打ち身の腕を痛がった。



「大丈夫ですか?……怪我をしているのに、無理を承知で言わせてください。音也、抱かせてください。」


耳元で囁くと、音也の頬がみるみるうちに朱に染まる。音也は私の声が好きなのだ。


可愛らしくて、愛しくて、胸が切なくなる。



「トキヤは情緒をわかってない。こういうのは、わざわざ言わないんだよ。」


私も同じ思いを持っていたなんていう無粋な言葉を呑み込んで、微笑みと共に口を塞いだ。





「ん、っん……」


浴室内でするのは初めてだ。体が冷えてしまうからと、湯船に二人重なり入った。


音也は私の上に跨がる形で、私の屹立を呑み込もうと腰を沈める。


「音也、声を我慢しなくていいんですよ」


浮力で浮いてしまう音也の膝を抑え込み、私も腰を進めていく。


音也は両手で口を塞いで首を左右に振る。普段は思ったことを何でも口にするのに、こういう時は強情だ。


「音也…?気持ちいい…?」


私が耳たぶを甘噛みしながら囁くと、内壁がきゅっとしまった。


「んっ……うぅ…」


「今、ナカが締まりました。気持ちいいんですね?」


耳に息を吹き掛けるように囁くと、ピクンと体が跳ねた。


「っ……言うなっ…あ」

固く上を向いた音也自身をきゅっと掴み、擦りあげる。


薄く上気した胸の飾りに口付けしながら音也を見上げる。唇を押さえていた両手が私の首に回った。


音也が目を瞑り、懸命に私を受け入れようと腰を動かす。


「んっ、ん……」


「音也……愛しています」


「ん……俺も……っあ、」



前とナカを同時に激しく擦りあげ、二人で高みに向かっていく。


激しい動きに湯船からお湯が溢れ出た。水音が聴覚を支配して、興奮を増幅させる。


「ぁっ……トキヤ…」


すすり泣く声と共に、細かくナカが収縮したと思うと、先端から白濁が吐き出された。続いて私も、音也のナカに愛情を注ぎ込む。


「ん……はぁ、っ」


私の胸に寄りかかる音也の髪を撫でながら、ありがとうございます、とお礼を言った。



「俺も気持ちよかったよ。ありがと」


音也は恥ずかしそうにふにゃりと笑った。


顔が赤い。私も、少し逆上せてしまった。


「こういうのも、悪くないですね」


私が笑うと、音也は何も言わずに抱きついてきた。


可愛い恋人のこんな頼みごとだったら、毎日だって悪くない。


恥ずかしがらずに、もう少し素直になってくれればなと思いながら、音也の頬にキスをした。



END





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