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「俺がお前と付き合って一番驚いたのは、お前がセックス好きだということだ」


神宮寺は聖川を見上げながら、揶揄するように呟いた。聖川は一瞬虚を突かれた顔をするが、それから唇だけで微笑む。


「仲直りの証だ」


「馬鹿か。そんなに簡単な問題じゃないんだよ、これは」


「神宮寺、言ってることとやってることが別だ」


神宮寺がスラックスに手を入れ、聖川の腰を撫でるものだから、聖川は突っ込みを入れた。


「うるさい。体と心が別なことくらい、わかってるだろう。」


神宮寺は妖艶に自分の唇を舐めたかと思うと、聖川の胸元を引っ張り、噛みつくようにキスをした。






「んっ、く……」


息を詰まらせながら、神宮寺が腰を上下させる。ソファが二人分の体重に悲鳴を上げている。


聖川は自分の上に跨がり、器用に屹立を受け入れている神宮寺を見上げる。


明るめの髪が電灯の光で金色に光る。額にはうっすらと汗が滲み、視線は聖川を挑戦的に見つめている。


「なあ、神宮寺?」


先刻からずっと、緩やかな快感が続いていて、聖川は堪えきれず声をかける。


容赦なく其処を締め付け、内壁に擦りつけられる感覚に、気が遠くなりそうだ。


「だめだ。この前のお返し」


神宮寺は楽しそうに体を倒し、今度は浅い抽挿を始める。
「この前?」

「俺の方が多くイったからな」


神宮寺が長い髪を掻き上げながら不敵に笑う。


「神宮寺、」


たまらずに下から腰を動かそうとすると、内股でしっかりと固定されてしまう。


神宮寺の中は熱く収縮を繰り返し聖川自身を締め付ける。聖川は快感に眉を歪めながら、神宮寺の背中に腕を回す。


「聖川」


神宮寺が吐息混じりに囁く。ソファが軋む音も、結合箇所から響く水音も、興奮を作用させる伴奏となっていた。


「愛している。聖川」


神宮寺が耳朶を食み、柔らかく微笑む。歌うような蜜言も、神宮寺にとっては媚薬に過ぎないのかもしれない。けれど聖川は甘い陶酔に抗うことは出来ない。


「もう離さない。嫌がっても、知らない」


「神宮寺、俺が今まで、お前への気持ちが変わったことがあったか?」


「あったかな」


神宮寺が寂しげに笑う。どうしたって、互いの孤独を完璧に埋めることは出来ないんだろう。だからこそ、この一時的な充足を求めて、体を重ねるのかもしれない。


「なかった。そして、今後もな」


聖川は無防備な神宮寺の其処を包み込み、根元から優しく愛撫を施した。神宮寺は小さな喘ぎを溢し、聖川の肩口に顔を埋めた。


「神宮寺、ありがとう。俺も愛している」


(一生離さない。俺の台詞だ。しかも、俺は本気で言っている。)


快楽に震える神宮寺の体を狂喜と共に抱き締める。掴み所のない彼が、どこかへ行ってしまわないように。

自由を奪うための楔を打つように、聖川は神宮寺の最奥を突いたのだった。





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