4 そんな風に仲良く手を繋ぎながら寮まで帰った二人だったが、その後神宮寺は大きく不満を持つことになる。 ある種この後を期待させる態度を聖川は取っていたと思う。 だのに。 今神宮寺の目に映るのは、気持ち良さそうにすやすやと眠る聖川の姿だった。 邪気のない寝顔。 こんな風に疚しいことを悶々と考えている神宮寺の方が、悪いように感じてしまう。 (お前、俺のこと、好きだって言ったよな……?) 神宮寺は聖川の頬に触れながら、心の中で話しかけた。 雪のように白くきめ細かい肌。まだ、誰もこいつには、触れていないのだろうか。 同室なんかじゃなければ良かった。 神宮寺は思う。 きっと同室で1日中一緒にいなければ、聖川の考えるような清い付き合いというものが出来たと思う。 「俺はお前に言われて、夜遊びもやめた。レディとのデートもやめた。なのに…」 お前は俺と付き合って、何かこれまでのお前と変わっただろうか。 自分本意な怨み言が浮かぶ。神宮寺は自分たちの関係がひどく不公平に感じた。 頬に触れた指先を滑らすと、聖川の長いまつげが揺れた。神宮寺はその手を離し、自身のスラックスの中に入れた。 (俺は…悪くない。俺は聖川が好きだ。こいつも俺を好きだと言った。だから悪くない。だって、十代だ。) 聖川の寝顔を見ながら、まだ萎えたままの自身に手をかける。頭の中で最大限の言い訳を考えながら、手の平で擦りつける。 「んっ…、は、ぁ…」 先端を引っ掻くと、少しずつ硬さを持っていく。何をしているんだろう。疑問符が脳内を占領した。 もどかしさに痺れを切らし、力を込めて強く握り、擦りつける。 快感が背筋を通り抜け、気がつくと背徳を忘れ、ひたすらに行為に没頭する。 其処が焼けるように熱くなり、無意識に腰を跳ねさせてしまう。 手の動きは止めず、ひたすらに扱く。 視界に聖川の寝顔が入る。 長いまつげ、薄く開いた唇、そこから漏れる微かな吐息。 「っ、聖川っ……」 愛しい相手の名前を呼んで、神宮寺は果てた。 少量の精液が手の平に吐き出される。 「はぁ、…っ、」 全身に倦怠感が走る。虚しさに消えてしまいたくなった。 もう色々と、限界かもしれない。 神宮寺の心の中で、冷めた感情が沸く。 聖川の静かな寝息は変わらず神宮寺の耳に届いていた。 → |