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そんな風に仲良く手を繋ぎながら寮まで帰った二人だったが、その後神宮寺は大きく不満を持つことになる。


ある種この後を期待させる態度を聖川は取っていたと思う。

だのに。


今神宮寺の目に映るのは、気持ち良さそうにすやすやと眠る聖川の姿だった。


邪気のない寝顔。

こんな風に疚しいことを悶々と考えている神宮寺の方が、悪いように感じてしまう。


(お前、俺のこと、好きだって言ったよな……?)


神宮寺は聖川の頬に触れながら、心の中で話しかけた。


雪のように白くきめ細かい肌。まだ、誰もこいつには、触れていないのだろうか。


同室なんかじゃなければ良かった。


神宮寺は思う。


きっと同室で1日中一緒にいなければ、聖川の考えるような清い付き合いというものが出来たと思う。


「俺はお前に言われて、夜遊びもやめた。レディとのデートもやめた。なのに…」


お前は俺と付き合って、何かこれまでのお前と変わっただろうか。


自分本意な怨み言が浮かぶ。神宮寺は自分たちの関係がひどく不公平に感じた。


頬に触れた指先を滑らすと、聖川の長いまつげが揺れた。神宮寺はその手を離し、自身のスラックスの中に入れた。


(俺は…悪くない。俺は聖川が好きだ。こいつも俺を好きだと言った。だから悪くない。だって、十代だ。)


聖川の寝顔を見ながら、まだ萎えたままの自身に手をかける。頭の中で最大限の言い訳を考えながら、手の平で擦りつける。


「んっ…、は、ぁ…」


先端を引っ掻くと、少しずつ硬さを持っていく。何をしているんだろう。疑問符が脳内を占領した。


もどかしさに痺れを切らし、力を込めて強く握り、擦りつける。

快感が背筋を通り抜け、気がつくと背徳を忘れ、ひたすらに行為に没頭する。


其処が焼けるように熱くなり、無意識に腰を跳ねさせてしまう。

手の動きは止めず、ひたすらに扱く。
視界に聖川の寝顔が入る。
長いまつげ、薄く開いた唇、そこから漏れる微かな吐息。


「っ、聖川っ……」


愛しい相手の名前を呼んで、神宮寺は果てた。


少量の精液が手の平に吐き出される。


「はぁ、…っ、」


全身に倦怠感が走る。虚しさに消えてしまいたくなった。


もう色々と、限界かもしれない。

神宮寺の心の中で、冷めた感情が沸く。


聖川の静かな寝息は変わらず神宮寺の耳に届いていた。






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