8 その笑顔を了承と捉え、聖川は神宮寺にキスを落とした。衣服を丁寧に脱がしていく。 そういえば、久しぶりだ。晒された上半身を目にした瞬間に一気に興奮を覚えた。雑誌では感じなかったのに、不思議だ。 神宮寺が首に手を回し、聖川に抱きついた。 「久しぶりだな」 神宮寺の瞳の奥が情欲で揺らいだ。 「ああ」 聖川は神宮寺に噛み付くようにキスをする。食べたばかりのカレーの味にすら興奮していた。 やはり、自分はどこか壊れているのかもしれない。と、冷静に考えながら、神宮寺を優しく押し倒す。 神宮寺は聖川のシャツの胸元を引っ張り、耳元で囁いた。 「別に女扱いしなくていい」 その言葉に、聖川は目を見開く。 先刻、女扱いしている、と言ったことを気にしているのだろうか。 神宮寺は続ける。 「俺は男で体はタフなんだから好きに動いていい」 目元が赤い。神宮寺の言葉に、聖川は正直な気持ちを返した。 「生憎だが、俺はいつも好きに動いているよ。」 神宮寺の耳朶を舐めながら、囁く。露になった肌に手を滑らせながら、揶揄するように伝えた。 「ただ、お前の表情に見惚れていたら、焦らすようになってしまうだけで」 「!」 「ご所望とあらば、もっと激しくしようかな」 胸の突起をつねり、挑戦的に続けると、神宮寺は体をビクンと跳ねさせた。 「っ、だからお前はよくわからないんだ!」 女性みたいに悩んでると思ったら、一気にケモノみたいになる。 そう悪態をつかれ、ぎゅうっと痛いほど抱きしめられた。 いとおしさに胸が締め付けられる。 思いが溢れ、押さえきれない衝動が沸き上がる。 「聖川?」 神宮寺は無言のままの聖川の表情を覗きこむ。 「神宮寺、好きだ。好きなんだ…」 一緒にいたい。大切にしたい。守りたい。幸せにしたい。 様々な思いが錯綜し、本心が迷子になる。ただ一つ確かなことは、夢の先にも彼がいること。 思いを叫ぶと、切なく響いた。ひどく情けない顔をしているかもしれない。 神宮寺はふわりと笑った。 「わかってるさ。心配するな。信じてる」 神宮寺の言葉に、すっと心が軽くなる。それはこの身勝手な欲望を、肯定してくれているようで、聖川は救われた心地がした。 * 「ん、っ、」 神宮寺の体に、自身の楔を思い切り打ち付ける。 神宮寺は両手で唇を塞ぎ、喘ぎを我慢している。背中が艶かしくしなる。聖川は頭の中が麻痺していくのを感じた。 「声を聞かせてくれ」 塞いでいた手をはがし、結合を深くする。 「っ、あ、ああ!」 神宮寺は一際大きく啼いて、腰を震わせる。熱い内壁が絡みつき、快感に意識を持っていかれそうになる。 「っ、神宮寺、イく、ぞ……」 「あっ、あ、」 先走りが迸る神宮寺の屹立を激しく擦りながら、聖川は腰を大きくスラストした。 前と後ろの同時の責めからか、神宮寺の目元に生理的な涙が伝った。 それを舐めとると甘い蜜のように錯覚された。 「あっ、…!」 「っ、……」 狭い内壁を抉じ開けるように擦りつけ、聖川は快楽の絶頂に達していた。 → |