4 久しぶりのオフで、聖川は神宮寺が載っている雑誌を購入した。 若い女性向けのファッション雑誌で、購入するのが少し恥ずかしかった。 神宮寺が出かけている隙に、リビングで雑誌を開く。 グラビアで神宮寺は様々な衣装に身を包んでいた。全体的に派手だった。 豪奢な洋館の中、スポットライトを浴びながら、中世の華やかな隊服をモチーフにした全身コーディネートが様になっている。 グラビアだけだと思っていたが、ページを捲るとインタビューも載っていた。 趣味や好きなものなど、プロフィール的なもの以外にも、突っ込んだ質問もある。 -アイドルを目指した理由は? 世界中のレディたちを幸せにするため。 聖川は笑ってしまう。神宮寺はこれで本気で、しかもそれか様になっている。 『-ST☆RISHメンバーそれぞれのことをどう思っている?』 聖川が目を引いたのは、この質問だった。 『音也→一番子供っぽく見えるけど、一番大人。イッキがいないと俺たちはまとまらないんじゃないかな。』 『トキヤ→ザ・ストイック。尊敬してるよ。けっこう可愛いとこもあるんだよね。』 『那月→俺とけっこう似てると思ってる。飄々としてるとことか、味覚とかね。』 『翔→おチビちゃんは可愛く見えて一番男らしい。ここだけの話、めちゃくちゃかっこいいと思ってるよ。』 『真斗→多分一番近くにいるけど、よくわかってない。言えるのは、こいつには負けたくないってことかな。』 聖川は自分に対する神宮寺のコメントを読み、驚いていた。これは、付き合う以前、もっと言えば険悪だった関係の頃から、変わっていない印象を受けた。 雑誌向けの言葉ではあるが、本人から発されたものなのだから、一真実を内包してはいる。 では、俺は。 俺にとっての神宮寺はなんなのか。 真斗は自問する。 ずっとライバルとして対極に置かれてきた存在。 自分の歌に対する誇りを守るために、絶対に負けたくない、負けてはいけない存在。 時は過ぎ、どう変わったか。 ただいとおしく、独占して、閉じ込めておきたい。 守りたい、優しくしたい、包み込みたい。 そんな風に思っていなかったか? まるで庇護の対象にしていなかったか? 聖川は愕然とする。 この感情は、神宮寺に対する冒涜だったのではないか。 聖川は目前が暗闇に包まれた心地がした。 → |