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早乙女学園を卒業し、ST☆RISHとしてデビューを果たし、半年が経った。

夢であったアイドルとしての活動が始まり、聖川は充実した毎日を送っている。

アイドル活動の他にも、舞台やラジオのパーソナリティーなど、幅広い仕事をさせて頂いている。

初めてのことばかりで失敗も多いが、どれもアイドルとして活動する上で、貴重な経験となっている。

神宮寺の方もモデルを中心に活動しており、ドラマのレギュラーも決まったと言っていた。

お互い忙しい生活が続いているが、一緒に過ごす時を大切にしている。


「ただいま」

「ああ、お帰り」


神宮寺が帰宅し、リビングのドアを開けた。


「あ、いい匂い」

「豚のしょうが焼きだ」
「ん。」

神宮寺はジャケットを脱いでハンガーにかけた。今日は長い髪をラフに一つにまとめている。


卒業後、当然学生寮から出ることになったが、自然とまた二人で暮らすことになった。付き合い出したということも大きいが、事務所社長のシャイニング早乙女の方針というのもあった。


『キミタチはまだまだ、半人前デース。ライバルの存在は重要デース。近いところで生活を心がけてくだサーイ!』

なんてことを言われたため、学生時代同室だったメンバー同士はそれぞれ、共同生活を続けている。


また、個人の活動だけでなく、聖川と神宮寺二人での仕事というのも多かった。今度、バラエティーのクイズ番組が予定されている。


「どうぞ」


出来上がった料理をテーブルに並べると、神宮寺は手を合わせ、いただきます。と言った。意外と礼儀正しい。


「ありがとな」

「もともと仕事が早く終わった方が作る約束なんだから、気にするな。今日はなんだったんだ?」

「雑誌の撮影だ。ん、うまい」

「今度持ってきてくれよ、その雑誌」

「えー、買えよ」

「買う買う、」


他愛ない会話が進み、随分と落ち着いたものだとしみじみと感じる。


仕事は簡単ではないが、こうやって穏やかな日々を共に過ごしていきたい。そう思う聖川だった。






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