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どうしてこんなことになった。

寮のベッドで、一応身体を起こした状態で、神宮寺は思った。

始業時間は8時半だっていうのに、聖川は6時くらいに起きて布団を干し始めたのだ。

窓から射し込む光に目が覚めてしまい、神宮寺はぼんやりと壁を見る。


クラスが違うことに安心していた神宮寺だったが、寮に入ると聖川がいた。同室だった。

前乗りしていた聖川は既に奥半分のエリアを取っており、畳まで敷いていた。


「同室だったのか。よろしくな」


無表情で言う聖川に、肩にかけていたボストンバッグがずり落ちたのが、昨日の放課後のこと。

「早く荷物を出したらどうだ?なんなら手伝うぞ」

区切られた部屋の神宮寺側は、まだ雑然としている。聖川はあまりそれが気に入らないようで声をかけた。


「勘弁してくれ…俺はまだ眠いんだ…」


「では、放課後だな。それほど多くないし、1日で終わるだろう」


布団を戻しながら聖川が息巻いた。

オカン…そんな単語か頭に浮かぶ。神宮寺はうんざりした。


冗談じゃない。やっと自由になれると思ったのに。


聖川は悪くはない。単に、善意で言っているだけだろう。しかし。


神宮寺はベッドから降り、聖川を睨み付けた。


「神宮寺?」

「これからずっと、寮生活が続くから言っておく。」

聖川が息を呑む。
随分と成長した。
今は視線が大体同じだ。
「俺に干渉するな。俺も、お前に早朝布団を干すな、なんて言わないから。放っておいてくれ」


語気を強めて言うと、聖川は小さく頷いた。


「わかった。神宮寺、お前……」


「なんだ?」


「いや。なんでもない」


変わったな。そう続けたかったのかもしれない。

だとしたら、俺も同じ気持ちだ。


神宮寺は自棄になって、再び布団に潜り込んだ。まだ十分に時間はある。

新鮮な空気と朝の光が入った部屋は、なかなか眠らせてくれなかった。






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