春 ]V



「ああ。そして、その生徒会役員は全員、生徒からの投票で決められる。一応立候補は取るがな。まあ···生徒が見ている点は、家柄と成績、そして容姿の三つだろう」
「うえ···ここでも結局顔か」
「ま、選挙の数日前には抱かれたいor抱きたいランキングなんて馬鹿なランキングが公式にあるくらいだからな」
「ブッ!な、何ですかそれ!え、しかも公式でぇ?!」
「おう。しかも、ほとんどの生徒会役員はこのランキングの上位者から選ばれてる」
「それでいいのか生徒会···」
「なんの偶然か、もしくは因果か。顔も良くて優秀な奴らだからな、いいんだよ。···前までは、の話だが」


そこで先生の顔はいかにも嫌なことを思い出しましたと言わんばかりに歪められ、大きくため息をついた。


「え、え、生徒会になにかあったんですか?」
「あー···花ノ下が関係してるんだが」


···花ノ下ァ!お前は先生をハゲにでもさせるつもりか!見ろよこの全てめんどくさいんでもうどうでもいですって先生の顔、完全に定年超えたサラリーマンの顔だぞ!


「簡単言うとだ。生徒会の役員共がよってたかって仲良く花ノ下に惚れ込んでまったく仕事をしなくなった」
「···········ホワイ?」

ピタリ、と、一瞬確かに時が止まったのを感じた。その言葉の意味を理解するのに暫く時間がかかり、先生と俺の間にはしばしの沈黙が流れる。そして、


「え、役員って実はバカなんですかね?」
「かもな」


今先生は、役員全員が花ノ下に惚れた、と言ったのか??惚れた···惚れたァ??生徒会役員が、花ノ下に····?!

「ま、マジかよ···」
「···他の奴らに花ノ下がとられるから、仕事なんてしてられっかってな」


それでいいのか生徒会!それでいいのか花ノ下!!それでいいのかこの学園!!
いや、人を好きになるのは自由だけどな!けどな!限度と常識ってもんがあるでしょうよ!それにそんな重要な任務を仰せつかってる役員様が····オイ!!


「しかも、花ノ下は見た目があんなだから、役員共の親衛隊が荒れに荒れて···」


仲良く役員共をホイホイしてしまった花ノ下は、見事役員の親衛隊を敵回し、今の学園はすごく、とても、めちゃくそに荒れているらしい。


「だから今は結構やばい状態ってことを知っといてくれや」
「は、花ノ下テンメェ···!!」
「···そんでだ。多分、同じ外部性で、尚且つ花ノ下と同室ってことで···その、結構つらい目に合うと思うが、多分大丈夫だ、多分。···いらないことをしなければ」
「ワア···何故だろうなんとなくフラグを建てられた気がする···」


母さん、父さん。
どうやら俺の高校生活は最悪の幕開けをしたみたいです。


「はぁ···大丈夫なのか俺ぇ···」


朝から重い気持ちになりながら、俺は小さくため息をついた。








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