金魂篇の金時+桂




ふと、「自分の昔から知る顔馴染みはこんな感じだっただろうか?」という疑問が頭によぎる。そもそも"こんな感じ"と言っときながら疑問に思うのがおかしいのだ。曖昧な上に更に曖昧だ。
仮に"こんな感じ"ではないというのはどういう状態を言うというのだ。それも曖昧じゃこんな疑問はおかしいに決まってる。それは自分自身でわかりきっていた、それでも、だ。

「なんだよ、ヅラ考え事か?」
そう問う彼は自分の記憶にいる金髪の幼馴染の坂田金時でなにも間違いはない。
「困りごとなら力になるぜ、万事屋金さんに任せな」
でも何かが違うのだ。ほんのちょっとの違い。こいつはこんなに爽やかに笑えただろうか。そしてこいつはこんなに優しい、いや、元から優しくはあった。でももっと不器用だった気がする。こんな風に頼ることを許すと言葉にして言う人間だっただろうか。いつだって彼は言葉にはせずに回りくどい、不器用な人間ではなかったのではないか。
「ああ、まあちょっとな」
「ほう、まあ考え過ぎないことだな。もしあれなら力になるからよ。いつだって言ってくれよ」
そう優しく微笑んで俺の頭を撫でる彼。違う。違う。違う。何かが違う。彼は俺の頭を撫ではしない。髪を触るのだ。彼はいつだって。髪を引っ張ったり触ったりして羨望の目で俺を見るのだ。"お前はいいよな"なんて言いながら。何がいいのだ?俺の髪の何がいいのだ? そもそも自分の髪にコンプレックスを抱いてなかったか。彼は。

「金時、お前は俺と共に歩んできた者だよな?」
思わずそう問いかけると金時は「何言ってんだよ、そうに決まってるだろ。変なもんでも食ったか?ヅラは本当おもしれえよな」クスクス笑いながら答えた。そうだよな、そんなはずはない。この彼は共に学び、共に戦った坂田金時だ。俺の記憶の中には金色に輝いている彼がたくさんいる。

違うのは俺の感覚のほうだ。俺がおかしいのだ。
「本当ヅラは最高だわ」
「ヅラじゃない、桂だと言って…っ!」
不意打ちで金時の唇が当たった。触れ合うだけの接吻。唇が離れると「ごめんな、桂」だなんて優しい笑み。

なあ、お前はそんな風に洒落たことのできる男だったか。そんな風に軽く、顔も赤くせず、してやったりと顔もせず何もなかったかのように、接吻のできる男だったか。

「俺、お前のこと好きだわ、やっぱり」
こんな風に軽いノリで愛を囁ける男だったか。


違和感
(俺の記憶の彼は誰?)

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書いてみたかった金魂篇の金桂。
桂はあれ?って思うけどそれをちゃんとまとめられずにただ疑問だけが積み重なってそのままにしていそう。
金時のキャラがわからん…。
ていうかこれ銀ちゃんもやるんじゃね?的なことがあるかも。難しい。
というか銀ちゃんを忘れてる桂さんとか切なくて長くかけなかった…だめだこりゃ\(^o^)/

12/11/24
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