桂は理解していた。
坂田は虚勢を張りながらもすごく寂しがり屋なこと。
坂田は冷たいように見えて本当は心が優しい人間であるということ。
坂田は自分の周りの人間を愛し、大切にしていること。
そしてその中でも自分は坂田が大切に育てているあの2人とはベクトルが違えども、同じくらい大切にそして愛されてることを。
桂は理解している、つもり、だった。
坂田のそれ故の自分、桂小太郎への執着心、そして独占欲の強さも。

それが自分の思っている以上に強いことなんて桂はまったくわかっていなくて、ああ、理解しているなんて驕りだったなあなど思ってる暇など今はない。久しぶりに(かれこれ二三カ月ぶりである)万事屋を訪ねるとそこには口元には微笑みをだけれども目は笑ってない坂田がいて、"ああ、また心配をかけてしまったのだなあ"と反省をしながらも自分を忘れてはいなかった坂田への喜びを感じていたつい先ほどの己を殴りたいと桂は激しく思う。それでいて「新八、神楽、今日お前ん家泊めて」と笑みを浮かべながら言う坂田に「何を言っているんだ、新八くんとリーダーにも久しぶりに会えたんだ、それはもったいないだろう」だなんて逆らった自分は大馬鹿者だった。志村の「あ、はい、銀さんわかりました〜ではごゆっくり」と苦笑いを見て桂は自分の愚かさに気付いたのだった。そして去り際の神楽の一言「ヅラ、銀ちゃんずっとイライラしてたアル。死ぬなヨ」


「お前今まで何やってたの?」
2人が去ってから桂はすぐさま坂田の寝室に引っ張り込まれ、押し倒された。桂の目の前にある坂田の顔は口元は笑みを作っていても目は笑っていなかった。その顔にぞくりと冷や汗が出る。これからされるであろうことへの恐怖。そして、少しの期待がそこには含まれていて下半身が疼く。
「ねえ、ヅラくん俺質問してんの、なのになに興奮してんの?」
「…っ!んあっ!づら、じゃなぁ…っ!うんっ!」
衣服の上から掴まれた己の昂りに桂はつい声を出してしまう。ただ坂田に触られただけで、しかも直接ではないのに反応してしまう自分の体を恨む。それでも体は正直で坂田の焦らすような指の動きに喘ぎ声を止めることは出来なかった。
「本当お前淫乱だよね、どーせ俺と会えない間どっかの知らないやつの下であんあん鳴いてたんだろ?だってお前淫乱だもんな。誰かに突っ込まれなきゃダメだもんなあ」
そう耳元で囁きながら指の動きを止めない坂田に桂は脳までとかされそうだった。「そんなこ、とっ、、んああっ!」否定の言葉もまともに出ないほど。
「そんなことないってか?んなん信じらんねえよ」
「…っ!あっ?うっ、!」
坂田は不意に指を桂の昂りから離す。焦らされながらも快感を与えていたその指がなくなったことで桂の下半身は疼きを増す。
「はう、ぎん、とき…っ、」
そう涙目で懇願するとにやりと銀時はそれまでと違った種類の笑みを浮かべる。今度は目まで笑ってる。しかしその種類の笑みはあまり良いものではないと桂は長年の経験からわかっていた。
「なに?ヅラくん俺に触って欲しいの?」
こくこくと素直に頷く桂に坂田は口角をもっとあげる。
「じゃあさ、桂、」
1人でシてみて?
桂はその言葉に目の前が真っ暗になった気がした。


チカチカ目が痛い。坂田がじっくり見たいからと電気を付けたからだ。本当にこの男は人に嫌なことをするのが好きで嫌になってしまう。とか思いながらも言うことを聞いている自分も自分だ。


坂田は桂の痴態をじっくりとねっとりとした視線で見つめる。そのために明るくした部屋なため桂の頬、肌が赤くなっているのがよくわかる。まだ理性があるのか羞恥を瞳に含ませながらも、声は抑えきれていない。本当このアンバランスさが癖になる。
別に坂田とて桂が本当に他の人間と寝たなんて思っていない。桂は自分以外に体を許したりはしないという驕りとも言える自信がある。それでも、それでもだ。長らく桂が坂田の前に姿を表さないとなんとも言えない不安が坂田を襲う。その不安は期間が長ければ比例して大きくなり次に桂に会ったときに爆発してしまう。
例えば今。桂に自慰をさせるのは辱めのお仕置きという意味もあるが、ただ、"桂のその姿を見れるのは自分だけの特権"であることを再確認したいだけなのだ。

「んっ、あう、は…っ!」
「ねえ、後ろ使わないでいいの?」
坂田の声にびくりと桂は自身をゆるゆるとしごいてた手を止める。桂の昂りは坂田の声に反応して大きくなった。もうなんだか泣きたくて仕方なかった。
「俺が声かけただけで大きくなった、本当お前俺が好きだね」そう言ってもう一回「ねえ、後ろ使わないの?」
ああ、本当この男は。


「へえ、ヅラくんいつもこうして1人でシてんの?」
そう坂田がつぶやくと瞳に涙を溜めてこちらを睨む桂。全然怖くないよ、むしろ煽られる。本当お前がこんなんだから虐めたくなんだよ。お前が悪いの全部。すごい責任転嫁だな。自嘲の笑みを作って坂田は笑う。



「ぎん…っ、とき…っ、あっはうっ、!んっ、あ!」
意識が朦朧とする中桂は坂田の名を呼ぶ。もうすぐ、でもイけない。頂点にイけない。なんでかはわかってる。もう自分の体はここまで坂田に毒されているのだ。それなのに浮気なんてできるわけもない。坂田でないともう自分はイけないのだ。本来生殖器として使うはずではない穴を自らぐりぐりして先走りだけたらたらと垂らす自身の昂り。それでもイけない。イきたいのにイけない。うわ言のように坂田の名前を呼んだ。

その姿に坂田の理性が吹っ飛んだのも言うまでもない。


毒される

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なんというか…坂田に命令されて自慰する桂さんが書きたかったのだけど、全然えろ描写ないですね。なんだこれ…


12/11/21
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