ポニーテールという名の通り尻尾のようにゆらゆら揺れる黒髪に目を奪われる。つい手を伸ばしてしまい引っ張るとその髪の主は「こら、放せ!」と自分に注意をしてるけれど、そんなの気にしない。なんだかんだこいつは俺に甘いのだ。
少し離れたところから視線を感じる。ああ、晋ちゃんそんなに睨むなよ。晋ちゃんこいつのこと好きだもんなあ。でもこっちおいでなんて言ってあげない。別に俺はこいつのことなんか好きじゃねえけど、この髪の触り心地を誰かに分け与えるのだけは嫌だ。ついでにこいつの意識が自分以外に向くのも。



刷り込みってのは凄いもので、「ヅラ髪解けてる」「ヅラじゃない桂だ、先ほどの戦いで解けてしまったのだ」「ふーん、やってやろか?」なんて晋ちゃんの言葉を「大丈夫だ、晋助、あとで銀時に直してもらう」ってあいつは断るのだ。そしてそのまま晋ちゃんよりも遠くにいた俺に「銀時ー!帰ったら結ってくれえ!」だなんて叫ぶのだ。晋ちゃんのあの悔しそうな顔。しょうがないでしょ、そいつの髪は俺のもんって相場が決まってんだから。
ついでに髪を結うときうなじに吸い付いといた。俺のものって証。
「見えるところにつけるなといつも言っているではないか」
「いいじゃん、お前は俺のもんなんだから」
そう言うとそいつは「本当お前は恥ずかしい奴だな」なんて冷静に言ったけど、耳真っ赤だから。後ろからでも照れてるのモロわかりだから。



なんだよその髪束。知らない知らない知らない。汚い手で触るな触るな触るな。ふざけんなふざけんな。



ねえなにその髪型。全然似合ってねえよ。失恋でもしたわけ?
そう茶化すと髪を短くしたあいつは「イメチェンだ」と言い切る。
そんな髪じゃ俺がいる意味ないじゃん。唯一の専売特許。そこで俺は気付く。皮肉だなあ。まあわざとかはわからないが、結果そういうこと。離れた分だけ俺はあいつを囲いきれなくて。奪ってきたものを奪い返された。
ああ、これは、高杉の仕返しってやつか。ああ、本当みんなみんな遠くなったなあ。



こいつそいつあいつ
(桂との距離が開いていくばかり)


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なんというか昔ならこんなことなかったのに、自分と桂の距離が遠いからこんな風に髪を切られてしまうんだなあって銀さんが思う話。
昔なら守れたのにいまは遠いからそんなんできない自分を不甲斐ないって思ってるのです。
こそあどで遠さを出したつもり〜。

長々と解説すみません。文章で伝えられるようになりたい…!

12/11/21

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