Gift | ナノ

夏祭り

ある日、綾子が突然コエンマの元を訪れた。
「お久しぶりですコエンマ様」
「おぉ、綾子久しいな…どうした?最近人間界はもちろん、魔界もこの霊界も問題が起きてないから、巫女ののお前の仕事も特に…」
「今日は、巫女の仕事でも、泰山府君様の仕事でもなく、お願いがあって参りました!」
「願い?」
「神々の世界って、時間や時空に囚われませんよね…」
「…は?」
「だから、時間とか空間とかそういうのに感化されないところですよね?」
「まぁ、一般的にはそう言われてるが…」
「…そこで、お願いがあるのです…」
「…やめてくれ…お前のその何かを企むときの笑顔を見る度、頭と胃が…」
「そんな難しいことじゃないですし、悪いことは考えてませんから大丈夫ですって!ただ、人を集めて欲しいだけですから…」
「人だと…?」

突然の思いつきにより、何かをコエンマに持ちかけた綾子…
数日後、綾子は大きな荷物を持ち、霊界のとある場所に立っていた。

すると、急にキーンという耳鳴りに似た音と共に、辺りが一瞬で変わり綾子は空中に投げ出された。

「うわっ?!…コエンマ様…わざと着地地点ずらしたでしょ…」

とっさに崇樹の羽を出した綾子は、ブツブツ言いながらゆっくりと降下をし、広場のようなところにゆっくりと降り立った。

「…天使…?」
「いや、堕天の間違いじゃない?」
「……まぁ、確かにそっちの方がぴったりかもね…」

綾子の後ろから、3人の少女の声が聞こえ、その主に気づいているのか、綾子は微笑みながらゆっくりと振り返った。

「お早いお付きで…梅流ちゃん、亜梨ちゃん、杏ちゃん…相変わらず言いたいこと言ってくれますね…」
「久しぶり〜綾ちゃん!」
「お久しぶりです梅流ちゃん!元気そうです良かった…」
「綾ちゃんこそ!まさか、飛んでくるとは思わなかったよ…!」
「久しぶり綾ちゃん…コエンマにでも嵌められた?」
「お久しぶりです亜梨ちゃん。多分…着地地点を変えられたのかも?」
「また、コエンマ様に無理でも言ったんじゃない?」
「そんなことありませんよ杏ちゃん!ただ、私は人を集めてくださいってお願いしただけだし…」
「その代わり、私達が働くことになったけどね…」
「お手数おかけしました…」

綾子が杏に頭を下げていると、また数人集まってきたのか、声が聞こえてきた。

「杏、何かさせられたの?」
「この空間、私の結界と亜梨ちゃんの植物で眠らせて作り上げた世界だからね梅流ちゃん…」
「え?!そうなの亜梨姉!」
「まぁね…」
「あ、だからあの幻覚を見せやすい眠れる植物を集めたいって言って…」
「そっ…蔵馬に頼むより手っ取り早かったから…」
「で、眠ってもらってる間、より幻覚をみやすいように、私の催眠術で…」
「あれ?綾っちって催眠術使えたっけ…?」
「…催眠が得意な幻鬼さんご指導のもと、一夜漬けで…」
「…それって、大丈夫なの綾っち…?」
「まぁ、私の催眠より強力な二人の催眠効果のある植物のおかげかな?」
「…なんか、この空間にとどまってるの、不安になってきた…」

この空間について話していると、遠くで聞こえてた声がドンドン近づいてきた。

『お〜い!』
「あ!!お〜い!!」

4人の少女の人影を見た梅流が、嬉しそうに手を振った。



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