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「詳しくは、後で話そ杏…蔵馬、申し出はありがたいけど、前にも断った通り、私は杏とここを拠点とすることにした。
そこに、なんだか濃い面子が揃ったけど、そのメンバーと共にここにいることを選んだの。
確かに、アナタの所との同盟を組めばどちらも…むしろ、そちらより非力かもしれない我々の方が、
他の厄介な奴らから守られる点では、盤石となるだろうけど…
正直の所ここの濃い面子をまとめ上げるので手一杯なの。
だから、私達はここでひっそりと暮らしていく。だから、ごめん。」

まっすぐと、迷いのない口調で侵入者の狐…
蔵馬と呼ぶその男に答えた亜梨馬に、杏は驚く半面どこかホッとして亜梨馬を見つめていた。

「だが、ひっそりと…といっても、内部から崩れないとも限らないんじゃないか?」
「危険分子はないとは言い切れなさそうだな…」

蔵馬と飛影は、先程の綾子の行動を見て、
いつかこの穏やかな空間を壊す存在になるのではないかと、
危惧するように亜梨馬に問いかけた。

「まぁ、いろんな子がいるからね…皆様々な理由でここに来た。
それを私と杏が受け入れた。受け入れたからには、自分達で面倒見ないとね…な、杏?」
「そうね…まぁ、ほんと一筋縄ではいかない様なメンバーだけど…内部の問題は、
いくら同盟を組んだとしても、結局は自分達で解決しないといけないもんね…」
「というわけだ、覚悟は出来てるさ…」
「なるほど。分かった。無理にとは言わないが、何かあったら言ってくれ。俺達も力にはなるよ」
「ああ、ありがとう。心強いよ…」

そう言って笑顔で握手する亜梨馬と蔵馬の元に、賑やかな声が聞こえ始めた。

「ずいぶん楽しそうな声がしてきたようだね…」
「あいつら、いつの間に仲良くなったんだか…」
「あんなに怖がらせちゃったのにね…」
「まぁ、残してきたのが海里になつに琉紅だったからな…緊張させないように務めたんでしょ…」
「あぁ、彼女達なら仲良くなるでしょうね…保母さんもいましたし…」
「璃尾狐ちゃん?保母さんって…あぁ!海里ちゃん?」
「本人に言ってやるなよ?」
「意外と、自覚してるかもしれませんよ?」

本当に仲の良さそうな雰囲気と、梅流の笑い声までする雰囲気に、蔵馬はどこか嬉しそうに目を細めた。

「梅流も気に入ったようだし、また遊びに越させてもらうよ。君達も、たまにこちらに来るといい」
「そんな事言うと、またどこぞのバカ狸がわざと迷い込むよ?」
「ついでにいたずらも仕掛けるかもね…バカ狸だし…」
「化け!狸!です!亜梨ちゃん!杏ちゃん!!」
「あ、綾っちお帰り。聞こえてたのね…」

亜梨馬の発言に、先ほどと同じように抗議をしながら現れた綾子を先頭に、続々と妖怪達が集まってきた。



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