一通り挨拶が終わると、その場で今回の外界偵察の報告が行われ始めた。

「今回の偵察は、特に大きな問題なかったです。近くのコミュも、
特に妙な動きをする様子もありませんでしたし…新しいコミュもできてませんでした」
「人間達はどうだった?確か、ちょっと前まで山を切り崩そうと、視察に山に入ってきたみたいだけど…」
「あぁ、それは大丈夫杏ちゃん…とりあえず山切り崩しの計画はなくなったみたいだから…」
「計画自体なくなったの?…何をしてきた?…そう簡単に人間が計画を覆すとは思えないけど…」
「何もしてないですよ?亜梨ちゃん…ちょっとばかし警告が効きすぎたみたいだけど…」
「【何を】してきたの?」
「いや…だから…ちょっとね…他のコミュの妖怪さんにお手伝いしてもらって、
ちょっと大きな嵐を起こしたら…思ってた以上に効果が出ちゃって…」

じっと探られるように亜梨馬の視線と言葉に耐えかねて、
観念したかのように綾子が嵐で人間達を懲らしめた話をすると、亜梨馬がため息をついた。

「あのね…我々は人間との共存を目的としてるんだから、あまり人間を怒らせるな!」
「ごめんって!死人が出たわけじゃないし、ちょっと被害が大きくなったけど、
皆山の神様のお怒りだ〜って山に手を出すことやめたみたいだし…」
「関係ない人まで巻き込まない方法にしろ!この、バカ狸!!」

確かに、悪い人間には懲らしめが必要だと理解している亜梨馬だったが、
関係ない人まで巻き込むやり方に、怒りを爆発させた。

しかし、そんな光景もいつものことなのか、他の妖怪達は当たり前のように二人を見て、
むしろそのやり取りを楽しんでいるようにも見えた。


説教しながらも、どこか無事に綾子が戻ってきたことにホッとしたような表情の亜梨馬を見て、
杏はクスリと笑うと、静かに立ち上がった。

「さて、綾っちのお説教はこのまま亜梨ちゃんにまかせて、私は見回りの続き行ってくるね。
さっき途中で綾っちと合流したから、まだ見回りまだ終わってないんだ…」
「あ、なら私も行きます。2人の方が効率いいですよね?見回るくらいなら私にもできますし、
一応ですが、応急措置くらいならできますし…」
「ありがとう璃尾ちゃん!助かるよ〜!」

どうやら、結界を施しているのは、主に長である亜梨馬と杏のようで、
その見回りをするのが杏の日課になっているようだ。

杏と璃尾狐が連れ立って出ていってすぐ、その場で亜梨馬による綾子の説教と、
それをいつものように楽しそうに見ていた海里・なつ・琉紅だったが、
突然結界の中に誰かが侵入したことを気配で察知した。




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