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家に帰ったら、お父さんとお母さんにこっぴどく叱られた
それもその筈
時計を見るともう10時を回っていたのだから…






Ep.3 二人目の魔導師






うちの家族はみんな動物好きだからミリィを飼う事に異論はないみたいだった
ミリィも初めての人間界での生活にちょっとドギマギしてるみたい


『よし!明日は魔導士達を探しに行くわよ!』

(そんなに簡単に見つかるかなぁ…?)



色んな事の連続で疲れていた私はベッドに入るとすぐに眠りについたのだった――――…







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カーテンに光が差し込む
その眩しさに目を細めた


『おはよう、梅流。昨日はよく眠れた?』

「ん…おはよう、ミリィ…。とりあえず、疲れはとれた――かな?」

『いつどこでフィクシドスターが現れるか解らないものね。気は抜いちゃ駄目よ』

「ふぁーい…」


眠気眼で生返事をする
確かにこんな時に襲って来られたりしたら、ひとたまりもない


『私たちの最終目標はフィクシドスターを解放した何者かを捕らえることよ』

「そっか…諸悪の根源ってやつは、その人にあるんだよね。何か、手掛かりとかはないの?」

『恐らく…敵は複数犯である可能性が高いわ。フィクシドスターを解放するには、複数の妖気が必要になる』

「どうして??」

『誰かが守りに徹し、また別の誰かが封印を解く。更に別の誰かがフィクシドスターの魔力を抑える…
こうやって役割を与えたほうが、誰にも気付かれずに任務を遂行出来るからよ』

「な、なるほど…チームワークがいいんだね…」

『感心出来ることじゃ…っと、梅流、時間はいいの?』

「へ…?きゃああああっ!!?も、もうこんな時間!?また遅刻しちゃう〜〜!!」


慌てて飛び起きて洗面所へと向かう
その後ろをトコトコとミリィがついてくる


(あ、そうだ。ミリィ、私、普段は学校へ行くんだけど…その間はどうしよう?)


ミリィを学校に連れて行く訳にもいかない
でも、もしまたフィクシドスターが現れたら…私1人の独断で倒せる自信がない


『その点なら大丈夫よ。今みたいに心で念じれば、私に届くから』

(そっか!ありがとう、ミリィ)


なるほど、離れていても会話が出来るのね…
私は大慌てで朝の準備を済ませた



「いってきまーす!」


この前みたいに遅刻しないように気を付けなきゃ…!
だけど、ミリィも言っていたように気は抜けない
見知らぬ誰かがフィクシドスターに襲われる可能性だってあるんだから…




「――――梅流?」


その時、不意に後ろから声をかけられた



「…亜梨姉??」

「やっぱり梅流だ。久しぶりだな」

「亜梨姉〜〜!!久しぶり〜〜!」



振り返った視線の先にいたのは私の幼なじみだった
彼女の名前は伊奈瀬麻菜。だけど、私は小さい時から“亜梨姉”って呼んでる
亜梨姉がそう呼んでって言ったからだ
私も他の幼なじみもそう呼んでるんだ
亜梨姉は優しくてかっこよくて、どんな時も私を守ってくれた
本当のお姉ちゃんみたいで、大好き
違う学校に通う事になっちゃったけど、今でも時間が合う時は一緒に遊んだりする



「しばらく見ないうちに、大人っぽくなったな」

「え〜〜??1ヶ月くらいしか時間空いてないじゃない」

「1ヶ月でも成長はするもんだよ」


そう言って亜梨姉は私の頭をグシャグシャと撫でた
私は口ではやめてよー、等と言いつつも、内心すごく嬉しかったり
だって久しぶりに亜梨姉に会えたんだから!


「杏や、綾子は元気?」

「ああ、2人とも元気だよ」

「そっかぁ…また4人で集まってワイワイ騒ぎたいね」

「そうだな…」


憂いを秘めた瞳でそう頷く亜梨姉
その時、亜梨姉とは違う声が私を呼んだ


『梅流、梅流!!』

(ミリィ?どうかしたの??)


まさか、フィクシドスターがこの辺りに…!?
思わず私は身構えた



『――――その子から魔導士の力を感じるわ!それも、強力な…!』

「え…?えええええええッ!!!?」


思わず叫んでしまった


「?どうした、梅流」

「あ…!な、なんでもないの、あはは…!」


亜梨姉が魔導士!!?
そ、そんないきなりすぎるよぉ〜〜…!


(それ本当なの?)

『間違いないわ!言ったでしょう、梅流。私は“自分のパートナーの魔力は感知できる”って!』

(そ、それじゃ本当に…??)


亜梨姉が魔導士、だなんて…
嬉しいけど、なんだか複雑だった
亜梨姉を危険に巻き込んでしまいそうで…

急に黙り込んでしまった私を不審に思った亜梨姉が私の顔を覗き込む



「梅流?具合でも悪いのか?」

「あ…!う、ううん、なんでもない!」


咄嗟に顔の前で手を振って笑顔を繕うが亜梨姉の眉間の皺は深まるばかりだ


「お前はいつもそうやって無茶をするからな…」

「亜梨姉…」


亜梨姉はそう言って優しく私の頭を撫でた

その時、キーンという耳鳴りが聞こえ、思わず私は耳を塞ぐ


「な、なに!?」

『これは…フィクシドスターの気配よ!』

「えぇ!?」


そんな…ここには亜梨姉もいるのに!

空間が淀んで辺りが静まり、視界から“色”が消えた




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