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「リーフ・バインド!!」

「アクア・キャノン!!」


翠色の蔦が光の巨人を縛り上げる
動きを封じた所に蒼き水流が叩き込まれる


「スカイ・トルネード!!」

「ライト・ブレイク!!」


続けざまに碧い旋風が巻き起こり、黄金色の光が巨人を襲う


「ブリザード・ブレイド!!」


紫紺色の大剣を振りかざし、巨人たちを一刀する
彼女達は私達を守るように立ちはだかった


亜梨馬「第二魔導士“妖狐亜梨馬”。いざ、参る!!」

杏「第三魔導士“杏”!手加減しないわよ!」

崇樹「第四魔導士“妖兎崇樹”!本気でいきますよ★」

海里「第五魔導士“妖兎海里”――あなたの為に戦います!」

なつ「第六魔導士“妖猫なつ”!只今参上です!」


梅流「みんな…!!」


亜梨姉が呆れたような困ったような笑顔で振り返る
それからぐしゃぐしゃと頭をやや乱暴に撫でられた


亜梨馬「ま〜たお前はこんなに無茶して…!!」

梅流「ふぇぇっ!ごめんなさいぃ〜!」

崇樹「まぁまぁ、亜梨ちゃん、ほどほどにして下さいな」

杏「でも、これで漸く…」


みんなの視線が琉紅と璃尾狐に注がれる
2人はその視線に怯む様子もなく、何かを決意したように力強く頷いた


海里「全員集合、ってとこかな?」

梅流「うん…!」


私達は桜雫と巨人とを見やる
先程あれだけ攻撃をされたのにも関わらず、巨人はあっという間に修復再生して元の姿に戻ってしまった


桜雫「くっ…!!全員揃った所で何も変わらない!行け!ポルックス!!」


光の巨人が私達に迫る


梅流「ううん…何も、変わらないことなんて無いよ
それは、貴方だってよく分かっている筈…!!
みんながいるから、頑張れる…!
みんながいるから、強くなれる!!
だって私達は、強い絆で繋がっているんだから!!」


強い光が私達の胸元を照らす
とてもあたたかくて、心地良い光…


ミリィ『このパワーは…!!』

幻鬼『間違いねぇ!“コメットシード”だ!』


大きな光の波が広がり、巨人の足が止まる
先に行きたいのに、身体が思うように動かないらしい

私達は胸元にそっと両手を置く
ふわりとした光がその両手を包み込む


ミリィ『今よ、みんな!その光をチャームにかざして!!』


ミリィの言葉に従ってチャームを取り出す
それぞれの色を象徴する光をチャームにかざすと一瞬でチャームの姿が変わった

それはまるで、物語に出てくる魔法の杖のような形状になる


カルア『ティンクル・ロッド…!まさか、こんなに早く…!』



梅流「…行こう、みんな」

「「うん!!」」


ロッドを高く掲げると、その先端部に光が灯る



梅流「彼方より来たれ!!星の輝き!!」


全員が一斉にロッドを振りかざす


「「「セイクリッド・スター・レインボー!!」」」


8色の光が放たれる
それは大きな光の帯となり、巨人を包み込む
3分も経たない内に巨人は光の粒子となり、消えた
後に残ったのはフィクシドスターの欠片と悔しそうに唇を噛む桜雫のみ…


桜雫「…っ!!この程度で、調子に乗るなよ…!!」


そう言って桜雫は黒い粒子を散らしながら消えて行った
灰色だった空間が元に戻り、私達の魔法も解除される

少しだけ…桜雫の表情が、悲しそうに見えた



亜梨馬「…さて、問題はそこの2人なんだが…」

琉紅「本当にごめんなさい!!」

璃尾子「許して欲しいなんて思いません…けど、この子はただ純粋に…」

梅流「うん、大丈夫。わかってるよ。琉紅はただ銀来に恩返しをしたかっただけで、璃尾子ちゃんはそんな琉紅を助けたかっただけ…なんだよね?」


私がそう問い掛けると2人共、弱々しく頷いた
そう、これはきっと――…
誰も、悪くなんかない
悪いのは――


梅流「だから、みんなで止めよう?フィクシドスターを使って、世界を終わらせようとしてる…アルギュロスのボスを」


スッと右手を差し出す
みんながその手に自分の手を重ねていく

…大丈夫
私達は1人じゃない
今よりもっと、ずっと強くなれる
何も怖くなんか…ない


梅流「やっと――全員、揃ったね!」



――みんなで立ち向かっていこう
壊す為でなく…彼らを、止める為に




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