紅光の眼が真紅に染まっていき、琉那の顔や腕に魔族の紋様が浮かぶ

紅光の背後の影を琉那の蹴りが、琉那の背後の影を紅光の拳がそれぞれ討つ
影は、まるで水が散らばるように消えていった

互いに背中を合わせ、戦闘態勢に入る
幼い頃からずっと一緒にいるだけあり、二人共息はピッタリだった


「大丈夫?」

「ああ・・・思ったよりも手応えを感じないな」

「うん・・・この程度なら、本気を出すまでもないけど気を抜かないようにね」


琉那の指先に霊気が溜まっていく
青白い光が目の前に迫った影に炸裂する


「霊 丸!!!」


その威力は凄まじく、霊圧のみで数体の影をも撃破した
直線に進む霊丸はそのまま結界へとぶち当たり、破壊するまでには至らずとも罅が入る
その途端、数体の影の“気”が弱まるのを感じた



「コイツら、もしかして結界が・・・」

「ああ、恐らく結界を破壊すればこの影も消える」



紅光は腰に下げていた双刀を構えた
現在の紅光には特殊な能力等は無いが、身体能力は優れている

眼前に迫る影を横殴りにし、境内の端へと向かう


「私は南の結界を、琉那は北の結界を頼む!」

「解った!」


目配せをし、それぞれの持場へと向かった


三日月の宝石を月雨が取り出し、“呪”を唱える
月雨の足元から一陣の魔法陣と、一人の少女が現れる
少女は月雨と周りを見渡し、指示を待った



『またこんな中途半端な時に呼び出して・・・』

「う、うううるさい・・・!アスト!お前は家の中にいる桂の護衛を!」

『はいはーい』


アストと呼ばれた少女が立ち去った後、月雨の背後の影が彼を狙い腕を振り下ろす
だが、それは鈍い音と共に弾かれた
背後には、あの忌々しい赤毛の少年が立っていた
両の手に鳳凰の刻印の刻まれた双剣を握り、肩で息をする


「よぉ、後方注意だぜ?月雨さんよ」

「ほざけ、息切らしとるくせに強がんなっちゅーねん」


月雨が右手を地面に叩きつけると、彼の周囲から無数の木の根が生え、明確に影を貫いていく
半月者である月雨は両親の能力をそれぞれ5割程度しか使えない
故に、従来の能力者に比べると数段力が落ちる


「俺が単体でやれる範囲は限られてる」

「・・・知ってるよ。オレも鳳凰がいないと大した事は出来ない」

「結界を破る為に温存しておきたいんや」

「何が言いたいんだよ」

「お互い様やろ」


先ほどの紅光と琉那と同じように背中合わせになる


「取り敢えず、この範囲で倒せるだけ倒そうや」

「せやな・・・後は隙をついて・・・まぁ適当に」



互いに目配せをし、ニヤリと笑った


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