序章 追憶
深い、深い眠りから、不意に眼を覚ます
辺りは真っ暗で、黒い空からは白銀に輝く雪が降り注いでいる
自分はそこに1人で立ちすくんでいた
闇の中で降り注ぐ雪が、やたらと明るく見えた
暗闇を探るようにして手を伸ばす
腕に掛かる雪が溶けて無くなる
しかし、不思議と冷たくなかった
――此所は、何処なんだろう…
そう思って辺りを見回す『梅流』
辺りには、相変わらず闇以外に何も見えない
梅流が小さく溜め息を吐いた
その時だった
『……、……!…』
誰かが啜り泣くような声が聞こえた
「誰…?あなたは、誰?」
問い掛けてみるも、返事は無く、泣き声のみが響いた
その時、前方に雪とは別の光が見えた
眼を凝らして見てみる
誰かが蹲って泣いている
ならば、あの子がこの声の主なのだろうか?
もう一度、眼を擦り、その人物を凝視する
梅流は息を飲んだ
ソコに居たのは、自分自身だった
- 2 -
[*Prev] | [Next*]
*List*
Home