序章 追憶



深い、深い眠りから、不意に眼を覚ます






辺りは真っ暗で、黒い空からは白銀に輝く雪が降り注いでいる


自分はそこに1人で立ちすくんでいた




闇の中で降り注ぐ雪が、やたらと明るく見えた







暗闇を探るようにして手を伸ばす

腕に掛かる雪が溶けて無くなる


しかし、不思議と冷たくなかった






――此所は、何処なんだろう…







そう思って辺りを見回す『梅流』







辺りには、相変わらず闇以外に何も見えない






梅流が小さく溜め息を吐いた




その時だった






『……、……!…』







誰かが啜り泣くような声が聞こえた






「誰…?あなたは、誰?」







問い掛けてみるも、返事は無く、泣き声のみが響いた







その時、前方に雪とは別の光が見えた



眼を凝らして見てみる





誰かが蹲って泣いている


ならば、あの子がこの声の主なのだろうか?




もう一度、眼を擦り、その人物を凝視する





梅流は息を飲んだ






ソコに居たのは、自分自身だった


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