「…そう、もう後には引けないのよ」



「裟…羅、ちゃん…!」




瑪瑠の首が軋む
意識が朦朧として来た
だが、ここで意識を失う訳にはいかない






(―――助けなきゃ…!)







―――この、少女を









「アンタ達なんか…ッ!!いなくなればいい!!!!」










裟羅が叫んだ瞬間―――




無数の花びらが、辺りに舞い上がった








「…ッ!」



(あ……)




裟羅が瑪瑠から手を離す
その花びらには見覚えがあった




花びらと共に瑪瑠を庇うように、現れた銀髪の青年





「蔵……馬……?」


小さく咳き込みながら彼の名を呼んだ
蔵馬はフッと笑うと瑪瑠に振り返る


「すまなかったな、“瑪瑠”」


そう言って、瑪瑠を優しく抱き締める
彼の使う薬草の類だろうか
先ほどまでの苦しさが徐々に引いていくのがわかった


「蔵馬…お願い…!裟羅ちゃんを…」

「…ああ。解っている。助けるよ。その為にアイツがいるんだ」





そう言って蔵馬が指差す先にいたのは、黒髪の少年だった



「あの人は…」

「俺達の仲間さ」



少年はゆっくりと裟羅に歩み寄った





「幽…助…!」




裟羅の瞳が大きく開かれた
憎しみと愛しさが混ざった色を湛える瞳を幽助に向ける





「あははは!!なぁんだ…わざわざ殺されに来てくれたの?」


「裟羅、」


「…っさい!!!近寄らないでよ!!!!」



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