「私は入れないんだ、種族が違うから」
「種族?」
「そう。ほら、早く入らないと!」
トンッと軽く琉紅が梅流の背中を押した
チラリと後ろを見ると、琉紅が小さく手を振っていた
―――少しだけ、琉紅が寂しそうに見えた
――――――
―――――
「まず、順を追って説明するな」
麓が何処からか持って来た巻き物を広げた
祠の中は外よりも若干暗いので蝋燭の炎で明かりを作る
「かつて、この世界は三国の王が支配していた」
淡々と麓は話す
梅流はそれに真剣に耳を傾けていた
「皆一様に強い力を持っていたが、その内の1人の力が急に弱まってしまったんだ。
その国王は、言った。
『もう人間を食糧にするのはやめよう』と」
ビクッと梅流の肩が微かに動いた
―――人間を…食べて、いた…?―――
「残りの2人の王は、もちろん大反対したさ。その2人も、主食は人間だったからな。そして、その国王は結局、腹を空かせて死んでしまった。」
薄暗い部屋で蝋燭の炎が頼り無く光る
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