しばらくすると、琉紅の足が止まった
大きく息を吸い、誰もいない雪原に向かって叫んだ
「みんなー――!!!!『瑪瑠』が帰って来たよー―――!!!!」
キョトンとして、琉紅を見る
「琉紅…?誰もいないよ??」
「ううん、いるよ。ほら」
琉紅が指を指す方向へと目を向ける
遠くてよく見えないが、何かが白い雪原の中から現れるのが微かに分かった
「あれって…」
―――狐??
雪原からひょっこりと顔を出した白い狐達が次々にこちらへと向かって来る
皆一様に毛並みが美しく、綺麗な瞳をしていた
紅、桃、蒼、そして、黄緑の瞳を持つ4匹の白狐だ
―――あ…れ…?
その狐達を見た途端、何処か懐かしいものを感じた
まるで、遠い昔から知っていたような―――
狐達は梅流達の前へ来ると、少しずつ体を変化させていった
光の靄に包まれるようにして、狐達が人の形になっていく―――
その光景は、とても美しかった
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