3話









荒れる波に阻まれ海に慣れ親しんだ筈の鰭は悲鳴をあげる


でも、そんな事言っていられない





鰭が千切れたって鱗が剥がれたって構わない

私はあの王子様を助けなきゃいけない







私を阻むひどく冷たい渦を掻き分けなんとか王子様の腕を掴むことが出来た


なんとか、陸まで 陸まで彼を運ばなければ…









王子様を決して離さないように抱きしめ私は陸を目指した



王子様を抱きしめ陸を目指すのは簡単ではない




2人分の重さと攫われそうになるくらいの水圧






けれど私はがむしゃらに陸を目指し


ようやく…








「これが…陸の世界…」










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