1話








海の底から見えた美しい光

波のきらめきでも月夜のかがやきでも無い憧れの詰まった光の船

その船の甲板に佇む貴方にどうしようも無く恋をした




_1話_




その日の海はいつもと変わらず穏やかだった

差し込む月明かり、きらめく波

夜の回遊にはぴったり だから私は油断していた

海には船が来るから不用意に海から顔を出したら危ない事を





「王子、外は冷えます 中にお戻りください」



「分かっている、お前は先に戻っておけ うん」



「なるべく早くお戻りになってくださいね」





私は会話が聞こえる方に体を向けた

すると 話でしか聞いたことのない人間が居た





王子 と呼ばれた人間はとても綺麗で胸がドキドキした

これが本で読んだ恋なんだ、と知る

なぜならこんな感情を持ったのは初めてだったから

ドキドキして苦しいなんて知らなくて甘く焦れた思いが募っていく


そしう彼から目が逸らせなくなってこの海に似た色の宝石みたいな瞳をずっと見ていた





すると彼はいきなりこちらに視線を遣った






「!?え、に 人魚…なのか?うん!?」





私はその瞬間弾かれた様に海に潜る



見られてしまった、でも…彼はとても素敵だった



罪悪感と高鳴る胸が共同している あぁ、なんて苦しいのだろうか








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