ぶちゅり。 そんな音がした。 手の感触はまだ残っている。 懐かしい、この手で人の頭を潰す感覚だ。 昨日磨いたばかりの番傘はあいにく今日出番なしのようだ。 この心に渦巻く黒を、赤で塗りつぶす。 僕はこの生暖かさに包まれて僕を取り戻すんだ。 「ねぇ団長、今日カグヤ随分荒れてない?」 「さぁ、気のせいだろう」 「なんか意地悪でもしたの?」 「俺があいつを虐めてどうする」 笑うクロロはカグヤを横目に建物の中へ侵入する。 100人以上いたはずの警備隊はもうすでに肉塊と成り果てていた。 「ただ俺は獣が野生を忘れるのが悲しいだけさ、せっかくの牙が台無しだろう」 呟くクロロに悪趣味とシャルナークが顔を歪めた。 誰よりもキミを想う prev / next top ×
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