「おい神夜!おいってば!」

ボーッ虚ろになった思考が不意に現実に戻される。

あぁキルアか。
どうしてそんな顔をしてるのかな?


「どうしたのキルア」

「お前…最近どうしたんだよ」

「どうしたって…」

「決まってんだろ、最近仕事以外殆ど部屋に篭って寝てるし…起きてると思えばボーッしてるし、それに好きだった本も読んでないだろ」


あぁまったく、キルアは本当に僕をよく見てるなぁ。


あの日から僕は夢の中で団長に会いに行ってる。

でもまだ団長には会えない。

いつも違う場所に僕はいて団長のもとへ行こうとすると目が覚めてしまう。

あと少し、扉一枚で団長に会えるのに。


「ちょっと、いろいろあるんだヨ」

「飯も食ってないんだろ?なぁ…神夜。なんか悩みあるなら俺に言ってくれよ」


キルアの瞳が少し潤む、優しい子だねキミは。


「ごめんヨ、あぁ…ちゃんとするよ。ちゃんと」


優しく頭を撫でて笑う。

あぁそうか、この世界にいる限り僕は僕を疎かにできないのか。


歯痒いなぁ。


ぱっぱと原因でも突き止めるか。




ゴメンね泣かないで
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