「あーー、俺、男なんだわ」

「なにぃ!?」

俺の発言に男達は驚いたように俺をジロジロと見る。
これであっさり引き下がってくれたり、

「んなわけねぇーだろ!どこにこんな乳の腫れた男がいる!」

しねぇか。

あー、面倒くせぇな、
どうしよう。

「たくっ、女のくせに妙な格好しやがって」

「大人しくしてれば痛くしねぇからな」

げへへへと下品な笑い声をもらす男どもに反吐が出そうだ。
もっと紳士にいこうぜ。

相も変わらず書類は火の上にヒラヒラとあるし、抵抗したら燃やされちまうだろうな。

うーん。

「考え事してんなよ!」

びりりと服を破かれる。
瞬間男たちから歓声が上がった。

あ、俺男の姿のまま来たから下着とかつけてねーもんな。

くそ!

「やべぇな、体も上玉だ」

「おい下も脱がせ脱がせ!」

最悪だ!
くそ!

もう、暴れちまおうか、なって思った瞬間目の前が真っ赤に染まった。

「いる、み」

今まで綺麗に殺してたイルミが全身血だらけで男たちの首を持って立っていた。

「何してんの」

「は、あ?」

「ほら、早く帰るよ」

「だって、お前、書類は」

「ちょっと燃えたけど、文字読めるし平気」

イルミの手の中には半分は焦げて半分は血だらけの書類があった。

もしかして、俺を助けるために、か?

「あの、よぅ」

「なに?別にお前のためじゃないから」

「あ?」

「他の男に犯された許嫁なんて嫌だっただけ。ほら帰るよ」

イルミは俺の縄を解くと自分の上着を俺に着せる。

なんだ、こいつ。


(初めての優しさ)


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