キルアと楽しく談笑をしてると一瞬で空気が凍りついた。
扉の方を見るとあの長男が立っている。


「なにしてんの?」

あぁ、怒ってんのか。
光を移さない瞳の中はドロドロと怒りで燃えていた。
キルアはあまりの殺気に動けず冷や汗を流している。


「なにって、キルアと遊んでんの」

「気安くキルの名前呼ぶなよ、お前なんかの立場じゃ呼んでいいわけないだろ」

「立場ってなに?俺一応アステリアの後継者なんだけど」


ピキッと長男のこめかみに青筋がたった。あぁこいつ本当に短気だな。
ブラコンなの?

やだやだ。


「お前死にたいみたいだね」

「殺したら困るのそっちなんじゃないの?」

「関係ないよ、親父の約束で俺の決めたことじゃない。それにお前なんか真っ平御免だ」

「へぇ、よかった。俺も同じ意見だよ」

長男が放った針を俺が素手で止める、てかキルアもいんのに危ねぇっつーの!


「い、イル兄!やめろよ!」

「キルは黙ってて」

「一応許婚だろ!それに親父がなんて言うか」

「もうキルを手懐けたの?やっぱ早めに殺さないとね」

「殺す?笑わせるなよ、てめーなんか女の俺でも殺せるぜ?」

隠しナイフを飛ばせば長男はかわしてこっちに走ってくる。
それを見越して背中から剣を抜こうとした瞬間、ピッと指で動きを止められた。
長男はシルバさんに、俺はゼノさんに捕獲されたらしい。


「やめんか」

「喧嘩するほど仲がいいとは言うが初日から喧嘩はやめろ、それもキルアの前で」

「止めないでよ親父、俺こいつが許婚になるなら殺すよ」

「俺だってお前を殺す」


バチバチと互いの間に火花が散る。
本気でムカつく。
何なんだこいつ。

また口喧嘩が始まりそうになった瞬間俺にドボボボと熱湯がかけられる。


「あっちぃーーっ!!!」

「のん!ロア、イルミ君と喧嘩しちゃいけません!仲良く!」

「こんっのクソ親父!」

「そんなにイルミ君嫌い?」

「あったりめーーだっ!!!誰がこんな奴許婚って認めんだよ!」

「なら仕方ないね」

親父とシルバさんはお互い顔を見合ってやれやれと笑う。
何だか嫌な予感がして逃げ出そうとした瞬間衝撃が走って俺はそこで意識を失った。




(俺の意見は何処へ消えた)


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