俺、予想外



「フィンクスさん」

シュリは俺に一輪の赤い薔薇を向ける。

「お仕事、頑張って下さい。この薔薇は私からの気持ちです」

「お、おう…、ありがと、な。」

違ぇだろ、言わねぇと。

ちゃんと、伝えるんだフィンクス。


「シュリ!」

「薔薇の花言葉、わかりますか?」

「へ?、あ?」

突然のシュリの言葉に思わず変な声が出た。薔薇の花言葉?


「赤い薔薇は、『貴方が好きです』一輪だけの薔薇は『一目惚れ』」

顔が熱くなってくのがわかる、そんな、わけがねぇ。
自惚れんなフィンクス。落ち着けフィンクス。


「あっ…と。つまり…」

「フィンクスさん、私貴方が好きです、一目見たときから。ずっと」

嘘、だろ

「もう会えなくなるなら言います、私貴方に一目惚れしました」

シュリの顔は俺と同じぐらいに真っ赤になってるが、蜂蜜色の瞳はずっと俺を見つめてる。


「……あ、」

脳裏に出会った頃の回想が浮かぶ。
礼も先に言われちまって、告白も先に言われちまった。


思わず笑いがもれた。


「俺も…、」

優しく、壊れないようにシュリを抱き締める。


「俺もシュリが好きだ、一目惚れなんだ」

そう言えばシュリはさらに真っ赤になって小さく「嘘…。夢みたい」と呟いた。


優しくシュリの額にキスを落とす、本当なら唇にするとこだが今はこれでいっぱいいっぱいだ。


「俺の女になってくれるか?」

「喜んで」


シュリは花が綻んだような笑顔で微笑んだ。
俺の天使、俺の妖精、俺の花、

俺の女。


すべてが愛おしくてまたキスを額に落とした。



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