俺、ヘタレ


「シュリ!」

カラーーンコローーンと響くドアを思い切り開くとそこには運良くシュリしかいなかった。

「フィンクスさん!どうかされたんですか?」

「あのよ、伝えたい事があって…」

「伝えたいこと?」

シュリは不思議そうにコテンと首を傾げる。そんな仕草にキュンとするも今はそんな時間もない。


「実は…」
俺は…お前が好きだ

「実は…?」

「実はだな」
はじめて見た時からお前に恋してた

「実は??」

「実は…その」
一目惚れなんだ


簡単な言葉なのに、いざシュリを目の前にすると言えねぇ。
心臓がバクバクうるせぇ、きっと顔は真っ赤だ。
くそ!
こんなに一人の女に翻弄されたのは初めてだ。


「あーー、実はな、この街には仕事で来てたんだけどよ、仕事も終わって新しいとこにいくんだ」

だから

もう

お前には

「それって、もうフィンクスさんと会えなくなるって事ですか?」

シュリは眉尻を下げて悲しそうにしながら俺を覗き込む。うるうるとした大きな瞳が俺を見つめる?

「そ、…なるな」

「悲しいです…」

あぁ、俺も…。俺もだ。

だから最後にこの想いを、お前に。


「シュリ…」


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