深夜イルミがロアの部屋に忍び込むといつも男の姿で寝ているはずなのに今日は女の姿のロアがいた。

あんなに女の姿は嫌っていたのに。何でだろう?

イルミは不思議に思ったが考え付いたのはついに自分を受け入れる気になったのかなというポジティブな考えだった。

それなら幸いとロアに覆い被さり唇を重ねようと顔を近づけた瞬間パチリとロアの目が開かれた。


「何してんの」

「あれ?寝てなかったの?」

「何してるって聞いてんだけど?」

「何っていつもの日課だよ」


こういった事をすればいつも真っ赤になるはずのロアが今日は何も反応せずただ冷たくイルミを見ていた。


「…お前にとって俺は親が決めた許婚だろ?」

「?、どうしたの突然、今日おかしい、」

「取り消そうぜ」

ロアの冷たい声が部屋に響いた。声にはなんの感情も篭っていない。

「元々親が勝手に決めたことだし、お前はお前で自由のほうがいいだろ。いろいろと、」

ロアが言いかけていた所を遮るようにイルミが無理矢理唇を重ねる、もがく手足を押さえ付けて乱暴に舌を絡ませるとロアの瞳から大きな涙の粒が溢れ出す。


「…ロア…?」

「もう沢山だ、俺はお前のオモチャじゃない」

離せと突き飛ばされ、イルミは呆然と泣きじゃくるロアを眺めてた。その涙は紛れも無い拒絶の涙だった。


さよなら愛しい人


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