ファーストキスを貴方に。



「クロロ、クロロ」

あの日から目に見えてアネモネはクロロにベッタリになった。
団員と遊んでいてもふとした瞬間にクロロの名前を呼び、クロロに抱き付く。


「アネモネ、団長ばっかじゃなくてこっちおいでよ」

マチが妬ましそうにクロロを睨み、アネモネを呼ぶ。

団員の反応もさまざまだった。


パクノダやシャルナーク、シズクは苦笑いしながら見守るタイプで

マチやフェイタン、フィンクスは目に見えてヤキモチを焼いていた。


「アネモネこちくるよ」


呼ばれ行こうとするが、チラリとクロロを見る。


「クロロ」

「なんだ、!」


―チュッ


「え」

「げ」


膝の上にいたアネモネが背を伸ばしクロロに顔を近付け、そのまま唇を重ねた。

クロロはピキッと固まり目撃した団員は思わず声を漏らした。



「アネモネ…、どこで覚えたんだ?」


クロロは片手でアネモネを抱き、キスされた唇を指で触った。


「誓い、のキスなの」

ふわりとアネモネは笑う。

「あぁ、絵本のやつか…」

「誓いのキスをしたら、ずっと一緒、でしょ?」


ふふっと笑うアネモネを見て、あまりの可愛さに今度はクロロがアネモネの頬にキスをした。


クロロが団員に袋叩きにされるまで後5秒。


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