何故か最近コプチェフを見ると胸の辺りがもやもやすると言うか何と言うか。とにかく気持ち悪くて仕方ない。でも嫌なものかと言われればそういうわけでもない。

「(なんだっつーんだよクソ…)」

軽く舌打ちをして窓の外を眺める。今日も平和すぎてつまらない。

「ボリス今日は機嫌悪いねー」
「…そうだな」
「何、なんかムカつくことあったっけ?」
「んー……」

言って、みようか。何か分かるかもしれないし…。

「あのな、」
「うん」
「なんか最近お前見るともやもやするんだよな」
「うん。…うん?」
「何でだと思う?」
「んー?んー…」

コプチェフは唸るだけで。どことなくにやけているように見えるのは気のせいか?……やはり突然このような質問をされたらさすがのコプチェフでも返答には困るのだろう。自分でもよく分かっていないのに他人に分かるわけが───。

「あのさ、ボリス」
「……何か分かったか?」
「うん、それってさ、俺に恋してる?」
「……………魚か?」
「いや鯉じゃなくて」
「………馬鹿か?」
「酷っ!折角教えてあげたのに!」
「普通に考えておかしいだろ。男同士、とか」
「そう?俺は好きだよ」
「……何が?」
「だからボリスが」

時間が、止まったような気がした。聞き間違いでは無いのだろうか。ボリスは目を見開いたまま、正に開いた口が塞がらないと言った状態で。赤信号で車を止めるとコプチェフはやけに真剣な顔付きでボリスに向き直る。

「……俺、本気だよ」

「冗談だろ」と言おうとして口を開くがそれは声にはならなかった。ちょっと待て。どうして今こんなにもコプチェフの顔が近いんだ。ゆっくりと離れていくコプチェフの顔を見詰めたまま固まってしまった。くす、という小さな笑い声に意識を引き戻される。

「ボリスの唇ゲーット」
「な…!てめ、ほんと馬鹿か!!とっとと車出せ!!」

サイドミラーに映った自分の顔が驚くほど真っ赤で視線を外に向ける。先程見た景色とそう変わらない。変わったのは俺のもやもやが増したことくらいだ。


キスで溶け出した秘密
(キスされたのに嫌じゃなかったとか本当どうかしてる)

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コプは悩んだ割に結構あっさりカミングアウトしそうだ←
「魚か?」のくだりが描きたかったんですw




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